福井の魅力に出会える小さな宿にも注目!

 さて、福井の魅力をもっと堪能したいなら、暮らすような旅を満喫できる個性的なお宿に注目。

 これまでの旅では出会えなかった、楽しい時間が待っています。

 かつて北前船の港として栄華を極め、豪奢な歴史的建造物が点在する三國湊には、アレックス・カー氏がプロデュースする古民家の宿が。

 明治時代の古い薬店の建築を改装し、レトロな看板や家財などもインテリアとして取り入れているのがユニーク。

 お部屋には、ダイニングキッチンもあり、地元の魚屋さんなどで買ってきた新鮮食材を使って自炊をするのも楽しい体験になります。

 また、近くにあるおいしいお店を巡るのも、この宿に泊まる大きな魅力です。

 かつては遊里として大いに賑わったという三國湊の滝谷界隈。

 その路地で明治20年から看板を守る「寿司割烹 与平」は、旬の幸を存分に味わえる小さな名店です。

 店主の前田幸二さんは「うちで使う魚は、100%福井産」と胸を張り、お米も県産コシヒカリを寿司に合うように工夫して炊き上げたもの。

 にぎりの一貫一貫には、福井の海の豊かさがしっかり凝縮していて、締めに出される、福井名物「へしこのにぎり」の旨みも格別です。

 また、「詰所三國」のすぐそばにある「サミュゼ」は、地元食材への愛情がたっぷり詰まった “三国フレンチ” で食通たちの舌を楽しませている人気店。

 「魚介も野菜も、地物は何でも美味しい」と語る畑和也シェフは、このご町内の出身。独創もちりばめたコースには、心弾む美味が満載です。

 そのほかに宿の周辺には老舗料亭など、訪ねてみたいお店がいっぱい。

 のんびり滞在しながら、三国の美味三昧を楽しんでみたい!

 また、福井と京都を結ぶ鯖街道の風情ある宿場町で、暮らすような滞在を楽しめる宿もあります。

 それが「八百熊川」。

 古くは朝廷に食料を献上する「御食国(みけつくに)」だった若狭。

 京の都へ魚などの特産品を運ぶ鯖街道の宿場町として、熊川は江戸時代にかけて大いに栄えたといいます。

 今も往時の面影を残す町並みが約1.1㎞にわたって広がっていて、「八百熊川」は、そんな古い界隈にたたずむ民家を改装した小さな宿。

 客室は、現在のところ3室。

 和の風情を大切にしながら、モダンに改装された空間で人気を集めています。

 カフェなど、新しいお店も少しずつ誕生している宿場町の散策を楽しんだあと、宿で味わいたいのが、地元ならではの気取らない美味。

 地元のお母さんが作る夕ごはんを届けてもらったり、キッチンで朝粥を炊いたり……。

 地域に暮らすように、のんびりとした時間を満喫できます。

 上質な食材と、その旨みを最高に引き出す料理人たちに恵まれた福井。

 さらに、食文化を支える職人技が守り継がれ、地域の魅力に出会える楽しい宿も各地に誕生しています。

 旅人が求めるすべてが揃っているこの地は、これからまさに旬の旅先なのです。

詰所三國 [坂井市]

所在地 福井県坂井市三国町南本町3-3-17
電話番号 080-2964-9613
客室数 2
宿泊料金 1名9,200円~(最大8名まで)
アクセス 福井駅から車で約40分、えち鉄 三国駅から徒歩約7分
https://tsumesyomikuni.jp/

寿司割烹 与平 [坂井市]

所在地 福井県坂井市三国町神明2-1-20
電話番号 0776-82-0273
営業時間 11:30~15:00、17:00~22:00
定休日 水曜
アクセス 「詰所三國」から徒歩約10分

サミュゼ [坂井市]

所在地 福井県坂井市三国町北本町4-5-31
電話番号 0776-97-9237
営業時間 11:30~13:30(L.O.)、18:00~21:30(L.O.)
定休日 火曜
料金 ランチ1,800円~、ディナー5,500円~
アクセス 「詰所三國」から徒歩約1分
http://samuser.jp/

八百熊川 [若狭町]

所在地 福井県三方上中郡若狭町熊川30-6-1
客室数 3
宿泊料金 1名19,000円~(最大5名まで)
アクセス 福井駅から車で約90分、JR上中駅からバス約10分
https://yao-kumagawa.com/
※お問い合わせはHPから

2021.10.15(金)
写真=平松唯加子、上田順子
取材・文=矢野詔次郎