自分たちの感性で、オリジナル作品を制作したいという思いから、山崎育三郎さん、尾上松也さん、城田優さんは「IMY」(あいまい)というプロジェクトを立ち上げた。

 多忙な3人ゆえ、スケジュールを合わせるのに数年かかり、ようやく「あいまい劇場 其の壱『あくと』」を今秋上演できることに。脚本は「あなたの番です」などの福原充則さんと城田さん。俳優の成河さんが演出に初挑戦する。方向性もジャンルもバラバラなメンバーが、どんな化学反応を起こすのか?


ふざけるノリの合う人ってなかなかいないんですよね(笑)

城田 まさに化学反応を期待しています!

山崎 このメンバーが集まったらどうなるんだろう? というところを見ていただきたくて。

城田 もともとは僕と松也は同じ高校で、(松也を指して)こいつが1年先輩。

松也 「こいつ」って言うな!

城田 すいません、先輩!(笑) 育(山崎)と僕の兄が友達だったのですが、育とは10年前の「ロミオ&ジュリエット」でのWキャストをきっかけに仲良くなりました。

松也 そして2015年の「エリザベート」で3人一緒になって意気投合したんです。

城田 ミュージカル界のなかでも、ふざけるノリの合う人ってなかなかいないんですよね(笑)。

山崎 この3人は、普通とは少し違う角度からモノを見るところがあって面白いんです。ふざけて、話が脱線することもよくありますが(笑)、そういうところから面白いエンタメは生まれる気がします。

松也 年齢も近いですし、オリジナル作品を作りたいという思いが合致して、感覚的にも近いというのは強みだなと思いました。

城田 僕らが出演するミュージカルは9割方、海外作品。歌舞伎も遥か昔に作られたものがほとんど。僕ら世代がクリエイトした、日本発の作品は本当に少ないんです。せっかくエンターテインメントをやっているのだから、自分たちで何か作れないかというところからIMYは始まりました。

山崎 優はミュージカルで演出もしていますし、松也は歌舞伎の自主公演を続けていて、今年は生田斗真くんを迎えて上演しました。舞台や映像でいろんな活動をしている僕らがこれまで見せたことのない表現を、ご覧いただけたらと思っています。IMYは最初に「こうでなければ」という既成概念に囚われるのは止めようと決めたんです。

 今回の公演も「ミュージカル」とも「ストレートプレイ」とも謳っていない。ジャンルの枠から外れてもっと自由でいいんじゃないかと。4本のオムニバスというのも挑戦ですし。

城田 僕が1本、福原さんが3本脚本を書きます。深読みをする人もいれば、全然わからないという人ももしかしたらいるかもしれない。いろんな受け取られ方が生まれるといいなと思っています。

松也 IMYですし。いい意味での曖昧さをね?

城田 そうそう。それで、一緒に観た人とかSNSなどで、作品についていろいろ話してほしい。

山崎 チケット代も25歳以下の方には安く設定しました。18歳以下のIMYシートは1,500円!

松也 お客さまの層を広げていけたらという思いがありました。生意気かもしれないですけど、広い意味で演劇界に何かしらの新常識を生み、クリエイターや俳優を志す若い方にチャンスが巡ってくるような流れを作れたらというのがひとつの夢です。

城田 凝り固まった概念をぶっ壊していきたい。僕らの活動を面白がってもらえて、5年後10年後に、IMYみたいなプロジェクトがたくさんできて、大きな劇場が日本発の作品で埋め尽くされたら!

山崎 僕はデビューがオリジナルミュージカルでした。後に韓国初のオリジナルミュージカルの日本語版に出演させていただいたこともあります。いまや、韓国では国内制作の作品がたくさん生まれ世界でも人気です。日本発のミュージカルも世界で上演されるようになってほしいです。

城田 最終目標は、僕らが行ったこともないような国で上演されること。そうしたら僕は引退してもいいな(笑)。

2021.09.27(月)
Text=Tomoko Kurose
Photographs=Takuya Nagata
Styling=Go Momose
Hair & Make-up=Miho Matsubara〈Yamazaki〉,Yasunori Okada〈Onoe〉,Emi Hanamura(MARVEE)〈Shirota〉

CREA 2021年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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