特に最初の頃は人から貰うお仕事はほとんどありませんでした。誘ってもらってライブもしたけれど、友人に写真を撮ってもらって個展をしたり、ZINEを作ったりと、自分から発信して「現場」を作るようにしていました。やりたいことと出来ることをひとつずつ試してきたのだろうと思います。似たような人があまりいない分、「絶対にゆっきゅんに出てほしい」という依頼だけが来るのは、活動を始めた頃からの強みだと思います。

――その後、ルックスに限らず、多様な女の子のロールモデルを発掘するという講談社のオーディション「ミスiD2017」に出場して、注目を集めます。

 2年間、自分なりに活動はやってきたし、尊敬している人達にも少しずつ存在は知られてきていた。でも、これからどうしたらいいんだろう、ってその頃ちょっと悩んでいて。そんな中で「ミスiD」を受けたのは、選考委員が自分の好きな人達で、その方々の選評が読みたかったからです。歌手の大森靖子さん、デザイナーの東佳苗さん、映画監督の山戸結希さん、劇作家の根本宗子さんがいました。

 

好きなことで人が元気になってくれるって最高

――そして今年5月、「DIVA ME」「片想いフラペチーノ」の2曲をリリースして、ソロ活動を開始されます。

 16年に「電影と少年CQ」という音楽ユニットの活動を始めてからも、ソロでの活動は自由に少しずつやってはいましたし、いつかソロでの音楽活動を大々的にやりたいとは思っていました。ただ、大学を卒業して大学院に進学したこともあって、ユニットと学業とソロプロジェクトはまだ同時には抱えきれないと感じていました。でも20年になって、来年はもう大学院を修了するんだって考えた時に、じゃあ、やりたかったことは恥ずかしがらずに全部やっちゃおうと。

 それまでは、自分の中で何かが熟してなかったんだと思います。何かやりたい気持ちはあっても、イメージが定まってなかった。去年の秋になって、心の準備も整った、周りにはお願いしたい人もいる、自分のやりたいことがはっきりとわかった、という状態になりました。

2021.09.15(水)
文=「別冊文藝春秋」編集部
撮影=平松市聖/文藝春秋