「この人の作品で自分はどのバッターか?」

――そうした時代を経てこれまで、精神的にも肉体的にも追い込まれる難役に多数挑戦してこられましたが、ハードなぶん実生活まで影響を及ぼしてしまうことはあるのでしょうか。

 役のことを考えている時間が増えてくると全く影響がないと言ったらウソにはなりますが、俯瞰して現場を見ている部分もあるので、役を引きずりすぎたり、役が抜けないということはあんまりないんです。

――ご自身で実践されているリフレッシュ方法があるとか?

 どちらかというとリフレッシュというよりも、気を抜かないように映画と演劇を観るようにしていますね。「この人の作品に入ったときに自分はどのバッターなのか」とか、どういう役割だったら動けるだろうかというのを考えることが好きなんです。

 作品を観るときは、この人の特長的な部分は何なのか、脚本に一番特化しているのか、それとも映像的表現なのか、ドキュメント的に人間を撮るのが好きなのかとか、想いを馳せていますね。

 あとは、最近だと割と時間があるので、身体を動かすようにはしています。自粛期間に(フィットネスインストラクターの)竹脇まりなさんのYouTube動画にハマり、竹脇さんの笑顔に会いたくて毎日YouTubeを見ながら踊りまくっていましたね(笑)。

――(笑)。山登りやコーヒーもお好きと伺いました。

 はい、好きですね。最近は早朝撮影でないときは朝ウォーキングにハマっています。近くにお寺があるのですが、ウォーキングして、お寺に飾られている「今日の一言」に勝手に胸を打たれて帰ってきます(笑)。

――どんな言葉が飾ってあるのか、気になります……(笑)。

「自然の中では人間はマイノリティ」とかですね(笑)。はい、その通りでございます! といつも思うんです。

 ウォーキング中は音楽を聴いているときが多く、心身ともにスイッチを入れるためにソウルミュージックを主に流すのですが、お寺では音楽をオフにして無音の中で佇んでみる。すっと涼しい風が吹いてきて気持ちが穏やかになりますね。

 その他だと、自分の身体の状態を知りたいので、ヨガをメインに体幹を鍛えるようにしています。去年舞台に立ったときに「筋肉は裏切らない。メンタルも強くなるから運動は絶対にしたほうがいいよ」と言われて、それ以来自分に合うものを実践しています。

2021.09.16(木)
文=SYO
写真=橋本篤
ヘアメイク=小林潤子(AVGVST)