こんにちは、新人美容研究家のにらさわあきこです。

 美容関係者によると、今年の美容キーワードは「代謝」とか。

 代謝といえば、実は肝臓が担っているって、ご存じでしたか?

 私は良く知らなかったのですが、肝臓は代謝と解毒を司る臓器。しっかり働いてもらってこそ、全身に栄養が行き渡り、瑞々しい肌や筋肉をキープできるというのです。

 そこで、肝臓がきちんと働いているかどうかをチェックする方法や肝臓をいたわる暮らし方について、専門家の先生方にとことん教わってきました。今回から4回にわたり、ご紹介していきます。

» 第1回 肝臓は美を司る栄養のキーマン
» 第2回 肝臓によい食事とサプリ 
» 第3回 中医学における肝とは? 
» 第4回 肝を守る生活と漢方薬 


●肝臓は美と健康の守り人

 まずお邪魔したのは、東海大学医学部付属東京病院健診センター。全国に先駆けて2006年に抗加齢ドックを始めるなど予防医学や健康管理に力を入れているところです。

【取材協力先】

東海大学医学部付属東京病院健診センター
 http://tokai-anti-aging.com/

 「肝臓はすべての臓器の下支えをしている臓器です。ですから、肝臓を健康に保つことが全身の健康や美容キープに繋がるのは間違いありません」とは、東海大学医学部付属東京病院の院長で、健診センターのセンター長でもあり、肝臓を専門とする西崎泰弘(にしざき やすひろ)先生。

 肝臓の働きについては、最近の研究で今まで以上にいろいろなことがわかってきているそうですが、個人的には「お酒を飲む人が気にするところ」というイメージで、なにをしているところかすらも、今ひとつわかっていませんでした。

「肝臓の働きは、主に4つです。『解毒』、『エネルギーの生成(代謝)』と『貯蔵』、そして脂肪を吸収するのに欠かせない『胆汁の生成』です」(西崎先生、以下・同)

 私たちの口から入った栄養は、胃や腸で消化・吸収された後、すべていったん肝臓に集められ、アミノ酸・アルブミンというたんぱく質になって血液を通して全身に運ばれます。すぐに必要でない分は、肝臓で貯蔵されます。

 一方、全身から集められてきた毒素の無毒化、つまりデトックスもやはり肝臓が行います。ですから、肝臓が機能しないと、毒素が体内をめぐったり、体内に停滞したままになり、様々なトラブルを引き起こします」

 つまり、全身の栄養を司るのが肝臓なら、毒素が回らないようにするのもやはり肝臓なのですね。

 「ちなみに肝臓が除去する毒素で最も重要なのは活性酸素です」と先生。

 なんと、活性酸素ですか。活性酸素といえば、様々な害をもたらすことで知られていますよね。病気の原因になったり、美容面でもシミ、しわ、たるみなど様々なトラブルの原因になるとはよく聞きます。

 ということは、肝臓にしっかり働いてもらってこそ、美容もキープできるということでしょう。

 とはいえ、肝臓は生命維持を左右するほどの大事な臓器。ゆえにとても頑丈にできていて、一般的な健康診断で見る数値では、よほどのレベルにならない限り、注意には至らないと聞いたことがあるような。

「そうです。肝臓は、臓器の中で最も大きく、4分の1が働いていれば、十分に仕事ができます。ただし、健診でわからなくても、注意したほうがいい状態があります」

 それが、脂肪肝

 最近、アルコール以外の原因で脂肪肝になる人が増えてきているというのです。

 私も思い当たることがあるので、脂肪肝については、実は密かに気にしておりました。

2021.05.26(水)
文=にらさわあきこ
写真=松本輝一