●脂肪肝と脂肪沈着
では、脂肪肝とはどのような状態を言うのでしょうか。
「脂肪肝とは、肝臓の中の脂肪の割合が30%以上を占める状態です。肝臓は、肝細胞という細胞で主に構成されているのですが、脂肪肝では、肝細胞に脂肪が沈着しています」
つまり、もともと肝臓としての仕事をする「肝細胞」という職人集団で組織された肝臓に(注・イメージで言ってます)、脂肪が入り込んだ状態が脂肪肝。沈着のイメージは、ロース肉のように周囲にたまる感じではなくて、そこかしこにぽつぽつと入り込んでいる感じらしいです(図参照)。
「脂肪肝を放置していると、肝炎や肝硬変に進行することがありますが、そこまでの状態にならなくても、肝臓の働きが阻害されて、トラブルを引き起こす可能性があります」
肝臓の働きが阻害されると言うことは、パフォーマンスが下がると言うこと。つまり、代謝やデトックスが十分に行われなくなる可能性があると言うことではないですか! 困ります!
ちなみに、なぜ30%が脂肪肝の目安になっているかというと、西崎先生によれば、
「脂肪肝の診断は肝生検という組織検査で行うのですが、肝生検は危険を伴うので、超音波(エコー)で見て判断できるのが30%だからというのが大きいです」とのことでした。
というのも、脂肪肝の診察は、一般には血液検査を経てエコーで確認するのが主流。なので、エコーで判断できる30%の割合が脂肪肝の目安だそう。
が、「脂肪が沈着し始めた時点で、肝臓のパフォーマンスは下がり始めるので、代謝が下がり、除去しきれなかった活性酸素が肌にトラブルを引き起こす可能性はあります」というから、注意です。
なお、最新の機械では脂肪沈着を数値で可視化できるものができていて、30%以下の脂肪沈着でも見ることができるそう。その機械とは、フィブロスキャン。
元は、肝臓の硬さを測るためにフランスで開発されたものに、2013年に肝臓の脂肪の割合を数値化する機能が付加され、医療現場でも利用されるようになったそうです。
2021.05.26(水)
文=にらさわあきこ
写真=松本輝一