こんにちは、新人美容研究家のにらさわあきこです。

 美容に実は大きな影響をもっている肝臓について見直すシリーズの3回め。今回は、中国の伝統医学「中医学」の観点から見ていきます。

 中医学では、肝臓をどうとらえ、どのようにケアしているのか。美容との関係は? など。気になるところを人気漢方薬局の「東西薬局」で教わってきました。

» 第1回 肝臓は美を司る栄養のキーマン
» 第2回 肝臓によい食事とサプリ
» 第3回 中医学における肝とは?
» 第4回 肝を守る生活と漢方薬 


●中医学における「肝」とは?

「中医学でいう肝とは、現代解剖学でいう肝臓そのものというわけではないのですよ」とは、東西薬局代表で医学博士・国際中医専門員の猪越英明(いこし ひであき)先生。

 よく、五臓六腑と言いますが、中医学では「五臓(肝・心・脾・肺・腎)」とは、現代解剖学でいう肝臓や心臓そのものをさすのではなく、私たちの生理や生きていく上で必要なことを支える5つの仕組み、システムだと考えるのだとか。

 その中で“肝”の役割はというと、「血液に栄養を与え、流れをコントロールすること。また、自律神経系の調節を担う、としています。自律神経系が乱れる一番の原因はストレスですが、ストレスの影響を一番受けるのが肝。ですから、ストレスに強い人とは、メンタルが強いということではなく、肝の力がしっかりしている人ということになります」(猪越先生、以下・同)

 なるほど。

 血液に栄養を与え、流れをコントロールするという辺りは、「東海大学医学部付属東京病院で前回までに教わった肝臓の働き」と似ているような気がします。ただ、それだけでなく、「自律神経にも肝が関係する」「ストレスの影響を受ける」という辺りには、東洋医学らしさと言うか、奥深さを感じます。

 また、猪越先生によると、五臓には、それぞれに関係性があり、例えば肝が弱っていると、その影響を受けて脾(胃腸の働き)に症状が出るなど、片方がもう一方を調整・抑制する「相克」という関係性や、お互いに助け合う「相生」という関係があるのだそう。

「例えば『胃が弱ったから胃薬を飲む』というのが西洋医学の治療だとすると、胃を弱らせている大本を治そうとするのが中医学です」

 ……詳しく知りたいです!

2021.06.06(日)
文=にらさわあきこ
写真=末永裕樹
資料提供=東西薬局