●肝はツヤなどに影響する

 では、“肝”の状態はどう見ていけばいいのでしょうか。

「肝は血を蓄えておくところですから、肝の不調により血が不足すると、顔色が良くない、艶がない、肌が乾燥する、爪が脆い、筋が入るなどの症状が見られるようになります。

 また、目や筋の働きと関係が深いので、肝が弱ると、疲れ目やドライアイなど目に関するトラブルや、足がつる(こむら返り)、肩や首がこわばるなどの症状が表れる場合があります。

 さらに、申した通り、自律神経に深く関係していますから、イライラしやすくなる、気分の落ち込みがある、寝付きが良くない、眠りが浅くなるなどの自律神経系の乱れに関係するトラブルも生じやすくなります。PMS(月経前症候群)になりやすい人や春先に心身ともに体調がすぐれない人も、肝が弱い人ですね」

 伺っていると、肝の不調によるトラブルは結構身近なものばかり。

 私は目が疲れやすいという以上に、目が凄く悪いですし、春先には体調を崩しがちなので、肝が強いとは言えない気がします。

 また、美容面で考えると、乾燥したり、ツヤがなかったりする時は、肝を意識したケアをすれば、改善が期待できるかもしれません。

 そこで、肝の調子をチェックする方法を教えていただきました。

 まずは、視覚的な判断方法から。

「顔が青っぽい人、特にこめかみあたりに青筋が出る人は肝にトラブルがある人です。舌の縁が赤い人もそうですね」

 先生に見ていただいたところ、私の場合、こめかみに血管の青い線が出ていました。驚きです!

 これは「肝に負担がかかって(緊張して)いる」状態なのだとか。

 気にしたことがなかったので、とてもびっくりしましたし、勉強になりました。

「因みに、『青筋を立てて怒る』という言い方がありますが、怒るという情動は、五行説では肝と関わりが深いものだと考えられています。怒りっぽい人やイライラしやすい人は肝が弱っていたり、負担がかかって(緊張して)いる人ですし、逆に言うと、いつも仕事や家庭内の問題などで怒っているような状況でストレスが溜まっていると、肝が弱ってしまいます」

 また、舌を見る場合には、両サイドが肝に関係する位置なので、両サイドが赤くなってないかをチェックするといいとか。

「他には、血液の流れをチェックする血流計で測る方法もありますよ」

 血流計は肝の状態を直接測るためのものではないですが、肝の状態も血液の流れ方から推し測ることができるそう。

 体質のタイプは7つあって、私のタイプ「乏血型」は、血液が不足気味で血液の流れが良くない状態。なので、血流を良くしたり、血になるものを食べると良いとのことでした。

 血流計はいろんな漢方薬局に置いてあるので、何度か体験したことがあります。気軽に体験できるので、気になる方は探すといいかもしれません。

「中医学では、その人の体質は生まれ持ったものが5割。その他、今まで食べてきたものと、今現在食べているものの影響+睡眠などの生活習慣によるものが5割だと考えます。

 五臓のどこが自分のウイークポイントなのかなど生まれ持った体質を知って、補完するような食べ方や暮らし方をすれば、体質の弱いところがカバーされてより健やかな日常生活を送ることができますし、現在調子が悪いと感じる場合には、その原因がどこにあるのかを探って、食事や生活を変えれば、心身の不調の改善が期待できます」

 では、肝が弱っている時は、なにをどう意識すればいいのでしょうか。

 取り入れたい習慣や食材、漢方などについて、次回詳しく教わっていきましょう。

吉祥寺東西薬局

https://tozai-yakkyoku.com/

猪越英明(いこし・ひであき)先生

医学博士、薬剤師、鍼灸師、国際中医師(国際中医専門員)、東京薬科大学薬学部中国医学研究室准教授、日本中医薬学会理事、多摩中医薬研究会会長、朝日カルチャー新宿教室講師。
著書に『「いつもなんか不調」がすっと消える手当て』(サンマーク出版)、共著に『顔をみて病気をチェックする本』(PHP研究所)など。

にらさわあきこ

文筆家、美容研究家。NHKディレクターを経て、文筆業に。恋愛や結婚、美容について取材・執筆を続ける中、2019年から美容活動を強化。簡単&ラクに綺麗になるための情報をブログやインスタ、雑誌ウェブなどで発信中。著書に『未婚当然時代』(ポプラ新書)。『婚活難民』(光文社)『必ず結婚できる45のルール』(マガジンハウス)など。
インスタ:@akiko_nirasawa_beauty、ブログ:『美活☆365日 簡単&ラク~に綺麗になろう!』

Column

にらさわあきこの日々是実践美容道

 新人美容研究家のにらさわあきこが取り組む美容道。アラフォー超えて、本格的に真剣に取り組むことになった「美容体験」や「美容習慣」の考察記。

2021.06.06(日)
文=にらさわあきこ
写真=末永裕樹
資料提供=東西薬局