コンセプトは「もし私が友だちを案内するなら」

「無問題」とは、読んで字のごとく、問題ない、大丈夫、まかしとけ、といった意味の広東語。韓国語なら「ケンチャナヨ」、タイ語なら「マイペンライ」と同じニュアンスの言葉である

 香港好きにはたまらない新刊が登場した。その名は、『香港無問題 香港ローカルなりきり旅』。

 本書を上梓した池上千恵さんは、出版社勤務を経て、2002年から足掛け6年香港に暮らした経験を持つ。当時は、現地発信の観光情報ウェブサイトの専属ライターとして活動していたが、その傍ら、香港ローカルフードの趨勢を綴ったブログ「開心香港街市」をスタート。このブログは、大変な好評を博した。 

 帰国後も、年に3、4回というペースで香港に通い、生活の匂いや空気感までもが伝わる軽快な文章で、現在進行形の香港を紹介し続けている。これまでの著書に、『香港女子的裏グルメ』『香港路地裏的裏グルメ』(ともに世界文化社)があり、香港に関するさまざまなガイドブックのナビゲーターとしても活躍中だ。

 本書は、著者の頭にふと浮かんだ「もし、私が香港を旅する友だちを案内するとしたら……」というコンセプトから生まれた充実の一冊である。いわゆる通り一遍の無個性なガイドブックとは異なり、まるで地元っ子のような視点から繰り出される情報には、読み進めるたび目からウロコが落ちる。

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2013.03.08(金)