ウエディングケーキにまつわる驚きの習わしとは

 先日、参列した友人の式は、マリオット・イヒラニ・コオリナ・リゾート&スパでのガーデン・ウエディングでした。アメリカ式に、新婦に付き添うブライド・メイドと、新郎に付き添うグルームズ・マンたちは正装でしたが、ほかの参列者たちはアロハシャツやムームーなどハワイらしい装いで、本当にこちらの式は、ほっこりして楽しい。子供たちもおしゃれしているものの、芝生の上では裸足で走り回ったり、みんなが思い思いにくつろぎながら祝う雰囲気。

左:Say I Do の下に、「おつまみもたくさんあります」とおちゃめなメッセージ
右:2人の写真を受付や、参列者の座るテーブルに飾って演出

 会場の入り口には木でできた手作りの立て看板と、受付にはビーチシックなデコレーション。アメリカの人はイベントを自分たちのイメージにあわせて作るのが本当にうまいな~と感心します。

 ガーデンに並べられたテーブルに着席して、ハワイ・スタイルの食事をいただいたあとは、ウエディングケーキの入刀! この日のケーキはココナッツ風味で美味しかったです。

左:とてもキュートなフラワーガールとリングボーイ
右:だんだんと暮れていくサンセットをバックに誓いの言葉。なんてロマンチック!

 ハワイでは、びっくり仰天のウエディングケーキにまつわる習わしがあります。参列者に切り分けたあと、新郎新婦は最後の1ピースを挙式の晩、家に持ち帰ります。まずラップで5重くらいにつぶれないように包みます。そして、そのあとアルミホイルでさらに3重ほどくるんで、冷凍庫に入れてしまうのです。なんと待つこと1年! 初めての結婚記念日を迎えるその日の朝、冷凍庫から1年前のケーキを取り出して、ゆっくりと自然解凍し、この1年を振り返りながら、大事にいただいて、結婚1周年をお祝いするという面白い風習。

何段かあるときはウエディングケーキのいちばん上の段を冷凍

 ハワイのウエディングケーキはバタークリームが主流なので、けっこうまったりと甘い。ですが、1年経つと、その甘さが不思議と抑えられ、スポンジは少しぼそっとしているけど、案外美味しいものなのよ、とは友人談。そうか、結婚して1年も経てば、甘い甘い新婚生活も、ほんのり甘いくらいになり、たまに感じる二人の違いがぼそぼそと出て来はするものの、それはそれでいいものかしら、っていう境地に達するのかな? 結婚1周年のウエディングケーキ、きっと味は人それぞれだろうけど、愛を誓い合った相手と一緒に食べられることは幸せなことだと思います。

工藤まや (くどう まや)
雑誌、TV、CMなどのメディアコーディネーター。ハワイ在住13年目。
アメリカ人の夫と愛犬2匹と虹の町マノアに暮らす。
CREA WEBで「おもてなしハワイ」を連載中。近著に山下マヌー氏との共著『かわいいハワイ』(マーブルトロン)

Column

工藤まやのおもてなしハワイ

ハワイに暮らすお洒落コーディネーター工藤まやさんが、“おもてなし”の気持ちを込めて、ハワイの気持ちのよい空気感たっぷりの話題をお届けします。

2012.12.05(水)