その人の生き方がにじみ出る役を演じたい
――それによって、自身の役者としての手応えや欲のようなものは生まれましたか?
井筒監督は絶対に妥協を許さないですし、俳優に対して、スゴく愛情がある方なんで、監督が「OK!」って言うたびに、「あぁ良かった」という思いが積み重なっていきました。クランクアップのときに「兄ちゃん、またやろな」と握手を求めてきてくれたんですが、感無量でした。今の僕の役者としての欲は、セリフの量が多いとか、役に特徴があるとかじゃなくて、普通の作品の普通の役で、その人から生き方みたいなものがにじみ出るという演技ができたらいいなと思っていますね。
――妻夫木さんや浅野さんと共演されたことで、彼らに近づきたいというような気持ちは強まりましたか?
みなさん素晴らしい俳優さんなので、尊敬していますし、憧れていますけど、僕は妻夫木さんにも、浅野(忠信)さんにもなれない。人としてはとても近づきたいですけど、やっぱり自分は自分だと思うんですよ。だから、役者としては別に近づかなくてもいいかなと思うんです。
2012.11.02(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Nanae Suzuki
styling:Norihito Katsumi(Koa Hole inc.)