レトロカフェに港町の鮨
そして屋台村

ランチの前にもう1軒寄り道した。「田中酒造」のすぐ近くにある「プレスカフェ」だ。
ここは、小樽に数軒ある「レトロカフェ」と呼ばれる古い建物を使ったカフェのうちの1軒。
明治28年(1895年)に造られた「旧渋澤倉庫」の一角がカフェとなっている。高い天井と運河に面した大きな窓は倉庫の名残だ。

カフェの入口を入って驚かされるのは、店内中央に鎮座するイギリス製ヒストリックカー。これ、なんと購入することもできるという。

木骨石造の店内は、家具や小物もレトロな雰囲気で統一されている。
オリジナルレシピのインドカレーとスパゲティも気になったが、次の予定があるので我慢して、カプチーノをいただいた。香り高くてコクがある。
大きな窓の外は雪景色。印象に残るコーヒータイムとなった。
プレスカフェ
所在地 小樽市色内3-3-21
電話番号 0134-24-8028
http://www.presscafe.biz/

次に向かったのはミシュラン2ツ星の「握 群来膳」。16歳から鮨を握って34年という大将、進藤勝利さんのお店だ。
なんと、前夜にバーで大将と知り合い、ランチの予約の皆さんが終わる頃に伺えば入れるかもしれないと教えていただいたのだ。

店に着いたのは13時半過ぎ。ちょうど先客が出てきたところだった。遅すぎたのか入口で断られそうになると、大将のお顔が見えた。すると、奥から「どうぞ!」と大将の声。ありがたやー!
ランチのメニューは、握り十二貫 5,000円のみ。店内には、私のほかに韓国からの4人組がいた。海外からのお客様も多いという。
お隣のグループには英語で、私には日本語でネタを教えてくださるという国際色豊かなカウンターとなった。
この日は、ヒラメに始まり、中トロ、小樽の青柳、北海道のヤリイカ、シマアジ、ホッキ貝、イクラ、5日間寝かせた旨みたっぷりのサワラ、ホタテ、トキシラズ沖漬け、ボタンエビ、そしてウニ。




極上の握り鮨を東京ではありえない価格でいただくことができるのだ。小樽再訪の機会があったらまた来ようと誓って店を出た。

握 群来膳
所在地 北海道小樽市東雲町2-4 ヴィスタ東雲 1F
電話番号 0134-27-2888
http://kukizen.jp/

夜は屋台村に行ってみた。小樽駅方面から「サンモール一番街」というアーケード入口を入ると、左手に「ろまん横丁」、右手に「レンガ横丁」というふたつの屋台村がある。
前者は建物の中に店舗が並んだフードコートのような造りで、後者は1軒ずつが独立した建物だ。情緒のある後者を選んだ。

ほとんどの店はカウンターのみの小さな店舗で、13軒のうち3軒は立ち飲み。
どの店に入っても屋台村内の他の店舗の料理を出前してもらうことができるのでメニューは豊富だ。
ひとりで行っても、隣の客とは肩が触れる距離なのですぐに和気あいあいと飲むことができる。

立ち飲みの「小樽地鶏 鳥ま津」は、鶏舎も経営する鶏料理店。鮮度抜群の珍しい部位も食べることができる。
この日は、胸の下の方の肉の炙り焼きと、自家製ソーセージをいただいた。ソーセージは、軟骨の食感とほどよいスパイスが効いていてクセになりそうな美味しさだった。
他に、立ち食い鮨や、立ち飲みイタリアン、炭火焼き、割烹、缶詰バーなど様々。出前を頼んでもいいし、ハシゴも楽しい。
そして小樽の夜は更けていく。
おたる屋台村
所在地 北海道小樽市稲穂1-4-15
http://otaruyataimura.jp/
2019.03.21(木)
文・撮影=たかせ藍沙