いざピラミッドの内部を探検!

 クフ王のピラミッドの内部へ入ってみた。

 入口は本来のものではなく、9世紀前半にイスラムのカリフによって開けられた通称“マムーン”の穴から入る。

 湿気がこもった薄暗く狭い通路を中腰の姿勢でえんえんと歩く(あとで通路の長さは約47メートルと聞くが、きつい姿勢ゆえもっと長く感じる)。

 “大回廊”という高さ約8.7メートルの通路に出ると、姿勢をただせるものの登り坂は継続し、キツさは変わらない。この時、目指す“王の間”にたどりつくことしか、頭になし。

 さらに進んだ先の、グッと低い入口のスペースを四つん這いで抜け、王の間へ。

 が、この手前の窮屈なスペース、実は盗難防止の石落としの仕掛けだったのでは? といわれている。ただ王の間のことしか考えずに飛び込んだ私、昔ならば……と考えると、おそろしい。

 王の間は、背中を伸ばして立つことができるスペースに、蓋のない石棺がひとつ置かれている。

 壁はアスワンから運んだ、ひとつ17トンもある花崗岩がきっちりと積まれ、北側と南側に小さな通気口が開いている。この小さな孔は外部につながっているそうだ。

 石棺内を覗き、通気口に手を差し入れてみるが、特に何かパワーを感じるということもなかった。

 かつてナポレオンは、尊敬するアレキサンダー大王にならい、ココ王の間で一人、一晩を過ごしたそうだ。翌朝、出てきたナポレオンの顔は蒼白。何が起きたか尋ねても、信じてもらえないだろうと、誰にも語らなかったという。

 もうひとつ、ナポレオンといえばエジプト遠征時、「兵士諸君、ピラミッドの頂から、4000年の歴史が諸君を見下ろしている」と言って兵士達の士気を高めたというエピソードも有名だ。

 クフ王の息子カフラー王のピラミッドは二番目の大きさながら、配置によって最も大きく見える工夫がなされている。

 高さ136メートル(もとの高さ143メートル)、一辺の長さ215メートル。化粧板がてっぺん付近のみ残り、キャップをかぶっているようになっているのが印象的だ。

 カフラー王の息子、クフ王の孫にあたるメンカウラー王のピラミッドは最も小さく、高さ約62メートル(もとの高さ65.5メートル)、底辺の長さは半分程度の105メートルと、他の2つの半分ほどのサイズ。

 財政が厳しかったからという説もあるが、オリオン座の腰の3ツ星になぞらえているのでは? という説もある。

 そして、カフラー王の顔を模した世界最大のスフィンクス。高さ20メートル、長さ73.5メートルあり、石を積み上げたのではなく、石灰岩の丘を彫りあげたものだ。

 幾度となく砂に埋没したが、新王国時代のトトメス4世が王子の頃、夢にスフィンクスが現れ、「掘り起こしてくれたら、王位につけるだろう」と予言。4年後に王位についたトトメス4世はこのことを思い出し、砂を取り除いて、修復したという。

 1798年にナポレオンが訪れた時も、スフィンクスは首から下が砂に埋まっていたそうだ。

2018.12.31(月)
文・撮影=古関千恵子