黄金マスクに魅了される
エジプト考古学博物館
ファラオたちの威光とエジプト文化の粋を結集した秘宝コレクション12万点以上を収蔵する「エジプト考古学博物館」。
フランス人考古学者オーギュスト・マリエットがエジプトの貴重な宝が海外へ流出してしまうのを防ぎ、保存しようと1835年に設立、初代館長をつとめた。
1902年から今のカイロ中心部のタハリール広場の一角に構えている。
1階は古王国時代からグレコ・ローマン時代まで、古代エジプトの年代ごとに展示がされている。
象嵌で目力のあるエジプト史上最古の木像や、“アマルナ美術”といわれる写実的な巨像など、美への意識の変遷もうかがえるようだ。
最大の見どころは、2階に展示されているツタンカーメンの宝物。なかでも撮影NGの別室に展示された黄金のマスクは、あたりに金粉が舞っているようなオーラさえ感じる。
ツタンカーメンのシグネチャーカラー、黄金とラピスラズリのブルーのストライプがパキッと鮮やかだ。色にも意味があり、青は来世、赤は現世、黄金は永遠を表しているそう。
精緻な細工が美しいツタンカーメンの玉座もみごと。背面に彫られた妻のアンケセナーメンがツタンカーメンに香油を塗っている姿が二人の仲睦まじさを物語っているよう。
そして妻が亡き夫ツタンカーメンに捧げたとされる、ドライフラワーになった矢車草の花束に時を超えた愛を感じる。
2階の最奥にはミイラ室がある。新王国時代のファラオたちのミイラが計23体、展示されている。
そこには、アスワンやルクソールで幾度となく名前を聞き、像を目にしてきたラムセス2世がいた。髪の毛が豊かに残り、鼻筋が整っている。こんなお顔立ちをしていたのか……。
ハトシェプスト女王や彼女と不仲だったトトメス3世もいた。栄華を誇ったファラオたちが実在し、21世紀の今、この部屋に集まっていることに、あらためて驚く。
Egyptian Museum
(エジプト考古学博物館)
所在地 15 Meret Basha, Ismailia, Qasr an Nile, Cairo Governorate
電話番号 02-2578-2452
2018.12.31(月)
文・撮影=古関千恵子