渋いものが新鮮に思える
仕事の合間に読むのは『中島らもの特選明るい悩み相談室』。らもさんとか高田さんとか、あえて渋いもの選んでるわけじゃないですよ(笑)。本当に今、この人たちのことを新鮮に感じてます。
今年2月の舞台『密やかな結晶』で、らもさんの劇団出身の山内圭哉さんとご一緒したんです。らもさんの話をよくしてくれて、「あの人は天才だよ」って言うから気になって読みました。
この本は質問と答えから成る簡潔なつくりで、気軽に読める。例えば「魚料理を見て『この魚死んでるの?』と訊く子どもになんて答えたらいいですか?」という質問に、らもさんは「死んでいるけれど、食べてあげると自分の身体の一部になって『生き返る』」と説明してあげましょう」と答える。
一見、大したことないようで本質的な質問に、らもさんはユーモアをもって多角的に答えていてすごい。読むと気分が切り替わって明るくなれるし、娯楽ってこういうものだと思う。
11月に公開する『銃』の原作は以前から知っていました。「マームとジプシー」の舞台「書を捨てよ町へ出よう」で共演した方が「虹郎に演じてほしい役がある」と、この作品を教えてくれたんです。
その後、別ルートで奥山和由さんから映画化の話をいただいたので運命的なものを感じました。
原作でも映画でも、僕が演じる西川トオルはやたらとコーヒーを飲む。武正晴監督によると、ストレスを表しているらしいです。主人公の脳内が壊れていくというか、壊れていたことが、そういうところでも伝わるのかなと思う。
でも僕自身は、カフェオレしか飲めなかったんです。それが映画の影響で、アメリカンコーヒーを砂糖なし、ミルク入りで飲むようになりました。
仕事で頭を活性化したいとか、喫茶店で考えごとをしたいときとかに、カフェインを摂ってスイッチを入れる感覚で飲んでいます。
2018.10.10(水)
Text=Asayo Takii
Photographs=sai
Styling=Ryohei Matsuda
Hair & make-up=TAKAI