雪解けを表現した鍋にのっているのは?
夕食のテーブルにまず用意されていたのは、ローストビーフとりんご。信州のきれいな水で育った本山葵(わさび)を添えて、安曇野の山葵畑をイメージした器にのせられている。
山葵は自分ですりおろして、先付けに添えたりお造りに使ったり。まろやかななかにピリッとした辛みとおろしたての風味がたまらない。信州のシャキッとしたりんごの甘酸っぱさと、ハチミツや出汁、醤油を使ったソースをかけたローストビーフが合う。
続く八寸は、菜の花の芥子(からし)和えや蕨のお浸し胡麻酢かけといった、山菜など地のものを使った季節を感じる一品があれこれあって、どれも信州のおいしい地酒にぴったり。
そして、いよいよメインの台の物である雪鍋。この宿のシグニチャーな一品は、鍋の上に丸く雪のようにのせられた綿飴に割り下をかけていただくすき焼き。アルプスの雪解けを目の前で見られるような趣向が何とも楽しい。
食事の仕上げは、3種類から選べる甘味。春のおすすめの桜デザートは、桜香るこの季節ならでは。
後篇では、朝な夕なの囲炉裏端での楽しみ、そして信濃大町に出かけ、伝統の松崎和紙の手漉き体験や郷土食のレストランでの食事など、信州を満喫します。
星野リゾート 界 アルプス
所在地 長野県大町市平2884-26
電話番号 0570-073-011(界予約センター)
https://kai-ryokan.jp/alps/
小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel
Column
日本を遊ぼう! 星野リゾートで地方の魅力再発見
日本のさまざまな地方の隠れた魅力を掘り起こし、プロデュースすることで日本の観光に一石を投じてきた星野リゾート。全国に展開されているその各施設を訪れ、その地ならではの遊び方、旅の仕方を再発見していきます。グルメ、自然、伝統工芸……、思いっきり日本を遊ぼう!
2018.04.21(土)
文=小野アムスデン道子
撮影=鈴木七絵