気持ちも体も温まる、冬のおすすめ甘味
もうひとつ見逃せないのは、冬限定の「粟ぜんざい」。もっちりと蒸された黄色い粟の上には、とろりとなめらかなこし餡がたっぷりとかけられています。粟には甘みは付いていませんが、熱々のこし餡を絡めるとほどよい甘さになり、気持ちも体も温まってまさに至福。箸休めの紫蘇の塩気も、絶妙です。
冬のおすすめとして最後にご紹介したいのは、「黒あんしるこ」。「竹むら」は池波正太郎氏の著書の中で「汁粉屋」と書かれている通り、お汁粉も看板メニューとするお店。自家製のお汁粉は、前日の夜から豆を選別して水に漬け、それを早朝に煮てこして作られているのだとか。
お汁粉のメニューは、こし餡の「御ぜんしるこ」と粒餡の「田舎しるこ」、黒糖を使ったこし餡の「黒あんしるこ」の3種類があり、なかでも「黒あんしるこ」は珍しいのでおすすめです。黒糖を使った餡と聞くと、コクがありそうに思えますが、黒糖の風味は上品でスッキリした甘さ。
神田っ子のように粋な甘味を、昭和の香りと共にお楽しみあれ。
竹むら
所在地 東京都千代田区神田須田町1-19
電話番号 03-3251-2328
営業時間 11:00~20:00
定休日 日曜、月曜、祝日
小松めぐみ (こまつ めぐみ)
東京都生まれ。食い道楽の親の影響で、10代半ばにして料理に目覚める。大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスに。2000年に独立し、主に雑誌で飲食関連の記事を編集している。
Column
小松めぐみの和菓子で和む、ほっこり時間
落ち着いた和の空間で和菓子をいただき、ほっこり和む、幸せな時間。仕事の合間や散歩の途中に、自分の時間を取り戻せる甘味屋さんをご紹介します。
2016.12.14(水)
文・撮影=小松めぐみ