美容液は成分名や素材が勝負となる

 覚えておくべき成分名、素材名は3つ。「LR2412」と「PQQ」と「ナノセスタ」

 化粧品を買う時に、“成分名”を執拗にチェックする人とまったく頓着しない人がいる。アレルギーのある人は別として、成分名ばかりに気をとられていると、自分によく効く化粧品を見落とすことにもなりがち。化粧品の“働き”は、確かに美容成分にあるが、化粧品の“効き目”は総合力。むしろ基剤や処方を含めた総合力なのだということに気づいてほしい。

 しかしそういう成分や素材名にも、覚えておくべきキーとなるものが時々登場する。特に“美容液”は成分をいかに早く確実に届けるかを身上としたアイテム。奇しくも今は、美容液ブーム、否が上にも成分名や素材の勝負となってくる。そんな中2011年、一躍“スター成分”として躍り出たのが、ランコムのヴィジョネアに配合された「LR2412」。何やら暗号のような響きだが、これは従来の美容成分とは違う。ランコムが化学的に合成した美肌分子。文字通り肌を自ら修復し、美肌の組織となっていく最新鋭の新分子なのだ。

 近年は、美容成分のほとんどが天然成分由来で、人工的に成分を合成することは、イメージ的に好ましくないということで避けられてきた。

a 肌のあらゆる部分に“自己浸透力”によって浸透し、すべての層で肌の再生を促す主要要素をターゲットにした連鎖反応を引き起こす先鋭分子「LR 2412」を配合。
ビジョネア セラム 30ml ¥10500/ランコム

b 医薬品開発に応用されているナノ粒子の技術を使い、ビタミンC誘導体やビタミンEなどを高濃度で角層のすみずみまで浸透させる。
エクラフチュール-W 50ml ¥13650/ナノキャリア

c “肌粗しょう現象”などによって起こる“深層だるみ”に着目。深部から湧き上がるハリ感を与えるPQQ(ピロロキノリンキノン)を世界初配合。
エピステーム C デュアルエナジー 40ml ¥15750/エピステーム

 でも逆を言えば、自然由来の成分の方が不確実で、肌にも強かったりするわけで、人工的な合成成分は人の手でコントロールできる分だけ、確実に効果がつくれて、しかも安全という見方もできる。またそういうものがつくれる機が熟したからこそ「LR2412」が注目を浴び、次の主流とも考えられているのだ。

 もうひとつ記憶にとどめておきたいのが、「PQQ=ピロロキノリンキノン」という成分。これ、わかりやすく言うと、半世紀ぶりに承認された新ビタミン。細胞エネルギーを高め、不足すると肌が骨粗しょう症状態となる。つまり肌痩せやシワの原因となるのだ。発見されてから久しいが、化粧品成分として配合できたのは、エピステームの新美容液Cデュアルエナジーが世界初。今後、サプリなどでもブームとなるかもしれない。覚えておきたい。

 もうひとつ、マークすべきが「ナノセスタ」。これは成分ではなく、成分を運ぶデリバリー素材で、この分野では今も主役である“成分を運ぶカプセル=リポソーム”を超える運搬機能をもったのだ。セスタとはバスケットのこと。まりものようなカゴの中に成分を入れ、目的地に確実に運ぶこと。表皮の底の基底膜まで運べること。徐々に時間をかけてカゴをほどくので長時間効くこと。安定性も高いことで期待を集めている。

 もともとは、医薬品研究で実績を積んできたナノキャリア社が抗がん剤用に開発したもの。これがエクラフチュール-Wという美容液となり、ヒノキチオールやビタミンCやE、アミノ酸などを運ぶ集中アンチエイジング美容液となったのだ。どんなすごい成分も、ちゃんと届かなきゃ絶対効かない。そういう意味でこれはきわめて重要な発見。

 毎年、新製品とともに、数えきれない成分名、素材名が聞こえてくるが、一過性のトレンドに終わらない重要成分として、2011年度はとりあえずこの3つを覚えておくこと。

齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数

Column

美容ジャーナリスト 齋藤 薫の美脳トレーニング

美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。

2011.12.15(木)
text:Kaoru Saito
photographs:Yasuo Yoshizawa(still life)

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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