著作で識る、偉大な祖父の息吹
――アシタカ・ブルーの衣裳を着た團子さんが照明の光のなかで、舞台でどのように躍動するのか楽しみです。そうしたこともお祖父さまがご健在だったらご相談できたのでしょうね。
ただ祖父はいくつも著書を残してくれているんです。そこにヒントがあり明確な答えが得られることもあります。作品や役そのものだけでなく、さまざまなことをその過程を含めて知ることができる。それはつまり研究して得られた方程式を残してくれているに等しいわけで、これはすごいことだなと思います。本のおかげでものごとを論理的に考えることができるんです。
――お持ちいただいた『猿之助修羅舞台』(PHP文庫)もそのひとつ。かなり読み込んでいらっしゃるようですね。
全然まだまだです。私より読んでいる方は巨万といます。
――最初に読まれたのはいつ頃ですか。
中学生でした。当時はまるで理解が追いつきませんでしたが、自然に惹きつけられてどんどん先に読み進めちゃう。そんな感じでした。
この本は“猿之助歌舞伎”というものを確立していった祖父が、エネルギッシュにその軌跡を書いたもので、祖父のものごとの捉え方や考え方に勇気づけられますし、読んでいると元気になれるんです。
――終始エネルギッシュな方でしたが、創造性豊かにさまざまな事象に対して果敢に立ち向かっていらしたお若い頃のエピソードなどは、現在の團子さんの年頃だからこそ響くものがあると思います。
これから先もさまざまな局面で指針になってくれると思います。ただ祖父の判断力というのは理屈を超えたところにあって、これはもうセンスとしか言いようがないんです。
――ご生前に「理屈は後からついて来る」とよくおっしゃっていらしたのを思い出します。
先に理屈ではなくて百戦錬磨で身につけた肌感覚のセンスなんです。それがずば抜けているんです。で、それがどういうことかを自分の中で整理するために論理的に検証している。理論ありきでそれを通そうとすればいろんな理屈をつけることは出来ると思うんです。でもそこには罠もある……。
――理論に夢中になってしまうと、他の選択肢やさらなる可能性を見落とすことにもなりかねないですものね。
自分は頭でっかちになりがちなので、そこがよくないところだと思っています。
――客観視なさっているのですね。センスを磨くために心がけていることは?
芝居はもちろんですが映画でも本でも、世の中にあるさまざまなものに触れるようにしたいと思っています。とにかくまずはインプットが大事。それは素晴らしいとされる名作に限ったことではなく、評価がいまひとつのものでもその原因がどこにあるのか探るのも勉強になると本で読みました。とにかく今は数をこなす、何でも経験することが大切で、自分の引き出しのなさを実感しています。
