若手歌舞伎俳優として目覚ましい躍進を続けている市川團子さん。大学を卒業し社会人としての一歩を踏み出した2026年はさらなる飛躍が期待されています。何よりの注目は新橋演舞場で7月から上演されるスーパー歌舞伎『もののけ姫』。アシタカとシシ神を演じる表現者としてのみならず、舞台づくりそのものに対しても積極的に取り組んでいる團子さんにお話をうかがいました。


スーパー歌舞伎と『もののけ姫』の親和性

――『もののけ姫』は團子さんにとって初めてとなるスーパー歌舞伎の新作。幅広い層から注目を集めていますね。

 ありがたいです。祖父が命懸けで創始した「スーパー歌舞伎」と、国内外にたくさんのファンがいらっしゃるスタジオジブリさんの代表作ですから、最初にお話を聞いた時はワクワクする一方で、不安や怖さを感じました。ですが、いい舞台にしなければという感情がストレートに湧いてきたのを覚えています。

――團子さんの祖父、二代目市川猿翁(当時 猿之助)さんによって、スーパー歌舞伎第1作『ヤマトタケル』が誕生したのは1986年。團子さんは2024年に上演された『ヤマトタケル』でタイトルロールを演じていますが、その時の舞台に向かう気持ちとはまた違うものがあるのでしょうか。

 ヤマトタケルは祖父を始め何人もの方が演じていらして、その映像も残っています。また祖父と舞台を共にされた先輩方が、誕生に至るまでのエピソードからその後の変遷まで実にさまざまなことを教えてくださいます。

 だからそこから学ぶことができましたが、今回は新たに一からつくっていかなければなりません。しかも祖父がいない状態(※猿翁さんは2023年にご逝去)で生まれる初めてのスーパー歌舞伎の新作です。

――「現代人の心に響く歌舞伎を」という理念のもと、猿翁さんが創始したスーパー歌舞伎の重要な要素が、スピード、ストーリー、スペクタクルの頭文字から命名された3S。ストーリーに関しては太鼓判ですよね。

 そう思います。正しさとは何か、自分の軸を問い直される物語だと思うのですが、作品の持つテーマ性が普遍的でスーパー歌舞伎と非常に相性がいいと思います。ただ舞台では物理的な問題もありますし、映画のアニメーションのテンポと同じようにはいきません。問題はそれが歌舞伎としてどう具現化されるかということです。

――スーパー歌舞伎とは親和性があるようですね。

 根本的に歌舞伎はデフォルメ、様式美の演劇です。この作品の魅力である壮大な世界観と絵面の美しさを、現実のものとして舞台上で表現するのなら歌舞伎が何よりも適しているのではないかと思うんです。

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