森蘭丸で「離見の見」を感知
――NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』に森乱役で出演されていますが、これも刺激になったのでは?
まさに! です。実際に撮影に入るまで、ドラマにはきっと歌舞伎とは違う台本の読み方があるのだろうと思っていたんです。でも実際は全然変わりなく役の人物の心情を読み解くという点においては同じでした。違うのは出力方法であって、完全に勝手な思い込みでした。それを知ることができたのは非常に勉強になりました。
――いい経験でしたね。
「離見の見」という世阿弥の言葉があるじゃないですか。この言葉のように演じながら俯瞰で自分を見つめることができたら、それは理想です。
ということは頭ではわかっているんですが、それってどういう感覚なんだろうというのが正直な思いでした。ところがドラマの撮影でそれをちょっと感じることができた気がします。
――スタジオの全景が見えてその中に自分がいるのを見るような?
はい。ほんの一瞬なんですけど、自分を俯瞰で見ているような感覚が得られたんです。ドラマって撮影直後にその映像をモニターでチェックできるので、時間差があまりない状況で自分の姿を見たことが脳内で結びついたのか、理由はわかりませんが。
――本番までにはテストもありますし、シーンごとに短く区切っての撮影は、舞台とは大きく異なりますものね。
自分が出ている舞台を生で観ることは不可能ですし、一度幕が開いたら芝居は続きますから、映像を撮ったとしても幕が降りるまで観られません。その違いはあると思います。本当に一瞬ではあったのですか突破口を見つけられたことで少し気持ちがラクになりました。まったく無の状態とでは大きな違いですから。
