運気の流れを知れば、最善のタイミングで行動できるように

――占星術の魅力について教えてください。

 占星術は、未来を予測する“占い”というよりも、今がどんな流れの中にあるのかを知るための手段だと思っています。たとえば、サーフィンをやろうと思ったときに、海が荒れているとわかっていれば、無理に沖に出ようとはしませんが、穏やかな波が来ているときには、思い切って進んでみることもできます。自分の運気の流れを知ることで、最善のタイミングで行動できるようになる。これが、占星術の魅力だと思っています。

――『満月珈琲店の星詠み』シリーズは、その占星術をモチーフにした小説です。

 2016年に『京都寺町三条のホームズ』で第4回京都本大賞をいただいたくらいから、占星術をモチーフにした作品を書きたいと思うようになりました。

 実は一度、出版社に提案して書かせてもらうことにもなったのですが、どうしても書けず、途中で断念。今思えば、知識も理解も、まだ自分の中に落とし込めていなかったのだと思います。

 しかも、占星術の世界には長く学んできた方がたくさんいらっしゃいます。初心者の自分が占星術の小説を書くなど畏れ多い、という気持ちもあり、書けなくなってしまったのです。

 そんなとき、SNSで桜田先生のイラストに出会い、満月の夜に猫の珈琲店が現れる世界観にひと目で心を奪われました。どうしてもこのイラストで占星術の話を書きたいと、大阪のコミティアまで桜田先生に会いに行き、「いつかご一緒にお仕事ができたらうれしいです」と厚かましく名刺交換もさせていただきました。

 その後、文藝春秋の担当編集者さんと次回作の相談をする中で、「このイラストの方とご一緒できたら占星術の話に挑戦したいです」とお話ししたところ、とても前向きに受け止めていただけまして。桜田先生にも正式にご依頼し、受けていただけたので、「それなら書こう」とやる気になりました。

 後日談として、「まさか本当に、出版社の方を連れて依頼に来てくれるとは思わなかった」と桜田先生が驚いていたとお聞きし、笑い話になりました(笑)。

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