桜田千尋さんの美しいイラストから物語が生まれることも…

――文庫本では、口絵に掲載されている幻想的で美味しそうなメニューを毎巻楽しみにしているファンも多いと思います。思い入れの深いメニューはありますか?

 2巻に登場する「線香花火のアイスティー」です。実は2作目のお話をいただいたとき、何も構想が浮かんでいない状態でした。1作目できれいにまとまっていたので、中途半端に書かないほうがよいのではないかと悶々としていたのです。 2巻『満月珈琲店の星詠み〜本当の願いごと〜』の第3章に登場する「線香花火のアイスティー」。

 そんなとき、桜田先生がSNSに「線香花火のアイスティー」の新作イラストを公開。その幻想的でノスタルジックな作品に衝撃を受けて頭の中に映像が浮かび、2作目の構成ができあがりました。

 2巻の第3章で線香花火のアイスティーが登場するシーンは、この時浮かんだ光景そのままを描いています。忘れられないメニューです。

――本作では、シリーズを通して自分の本当の願い事に悩む人たちが登場するのも高い共感を呼んでいます。

 本作に登場する人たちは、みな何かしら“本当の願いごと”に迷っている人ばかりです。開運の第一歩は、自分の本当の願いごとを見つけることですが、願いに行き着く前の自分の心の整理ができておらず、自分の本心が見えなくなっている人はたくさんいます。

 たとえば、「宝くじに当たりたい」と願う人は数多くいますが、それは本当の願いではなく、通過点だと私は思っています。宝くじに当たることで世界旅行に行きたいとか、将来の安心がほしいなど、そこにその人の本当の願いがあります。

 私も作家になるまでは「なんでもいいから書いた小説が本になってほしい」と思っていました。でも、あらためて自分の心を整理してみると、「なんでもいい」ではなく、出版社を通して著書を刊行し、作家になりたいという、自分の本当の願いが見えてきました。

 「幸せになりたい」「結婚したい」も同じです。どういう状態だと幸せなのか、結婚してどうなりたいのかを自分の言葉で言えることがすごく大事なのだと思います。

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