自他ともに認める浪費家だった青木さやかさん。1級FPの坂本綾子さんの監修を受け、お金の知識という“武器”を手に入れていく2年間のリアルな軌跡を綴ったマネー・エッセイ『貯蓄が苦手な人ほど読んでほしいお金の第一歩 お金まわりを見直したら人生が変わった』を上梓しました。
「お金を使うのが好きで、節約は正直苦手。それでも将来の不安はあった」という青木さん。お金を通して、自分自身とどう折り合いをつけていったのでしょうか。
ギャンブルが好きで、あるだけ使うタイプでした
――ご自身で「浪費家」とおっしゃっています。
昔から、お金を使うのが得意でした。パチンコなどのギャンブルも大好きで、あればあるだけ使ってしまうので、お金を貯められなかったんです。いつだったかクレジットカードの請求額が銀行口座に足りなくて、カード会社から所属事務所に連絡が来てしまい、社長から「家計簿を付けなさい」と怒られたこともありました。
――2003年に「どこ見てんのよ!」でお笑い芸人として大ブレイクされ、収入も大きく増えました。
そうなんです。おかげさまで、数年間休みがないくらいお仕事をいただけて、一時期は銀行口座に約8,000万円近くの預貯金がありました。
ただ、あの頃は本当に休みがなくて、使う暇がなかったんです。当時はまだネットショッピングも主流ではなかったので、結果的に貯まっていただけ。あの時の貯金は、今はほとんどありません。
――当時のお金の使い方を教えてください。
最初は収入が増えるたびに、広い賃貸マンションに移り住んでいました。芸人たちの間では、「大きな家に住むと大きな仕事がくる」と昭和のジンクスがささやかれていましたし、「頑張ってきたご褒美」という気持ちもありました。
ほかにも家具や絵画、車、旅などにもお金を使っていました。親への仕送りや、祖母宅の改築費用なども出しましたが、一番大きかった支出は知り合いにお金を貸したり、投資だという名目でよく理解せずお金を渡してしまったこと。あの頃はそんなことにもお金を使えたんですよね……。今はできません(笑)。
――最初に「このままでは、まずいな」と感じたのは、いつ頃でしたか。
15年ぐらい前でしょうか。その頃は仕事が落ち着いていたのですが、出産して子育てでお金がかかるようになっていたんです。収入は減ったのに、子どもへのお金がかかり、さらに自分のお金の使い方は変わらないまま。気がついたら、支出が収入を上回り、その差を貯金で補填する生活が続いていました。
――そこまでいっても、すぐ家計を見直そうとは思わなかった?
自慢じゃないですが、貯金額も残金も知らなかったんです。もちろん、マンションや車のローン残金も知りませんでしたし、娘の学費もきちんと把握していませんでした。
――マネー・エッセイの連載企画をすることになり、はじめて本格的に家計簿をつけたそうですね。
はい。最初に感じたのは「こんなに使っているんだ」という驚きでした。
思っていたより多かったのは、交際費と交通費です。ガソリン代に駐車場代など、維持費だけでかなりの支出なのだということがわかりました。
後輩に「カーシェアにしたらどうですか?」と言われたことがありますが、自分名義の車で、スタバでドライブスルーをするのがいいんですよね。
交際費は、1カ月に20万円近くかかっていました。食事などの費用も多かったのですが、どこへ行くにも、手土産を持っていきました。「毎回手土産は必要ない」と意識を改め、3回に1回くらいに控えるようにしました。
――家計簿をつけたことで、お金の流れが可視化できたのですね。
正直そんなに使っている自覚はなかったのですが、自分が使っていた金額を洗い出したことで、収入に対して支出が多すぎる、という現実が見えたんです。
クレジットカードでの買い物も変わりました。便利な分、使っている感覚が薄くなりがちでしたが、家計簿で数字を可視化したことで、「今いくら使ったか」を意識できるようになりました。










