私の脳みその中で思うことぐらい私が選んでいいんだ
――本の扉の写真には、光浦さんが羊毛フェルトで作ったシェフたちの顔がずらりと並んでいますね。
このブローチ、すごいそっくりなんですよ。怖いシェフもいましたが、みんな人間味がありました。
語学学校の先生はとってもフレンドリーで、いい先生で、いい面しか見てこなかったけど、カレッジの先生はいいとこもあれば悪いとこもあって、もう本当に人間臭い人たちばかり。自分の悪いところも隠さないんですよ。そういうところも面白かったですね。
――クラスメイトの方々もみな、人間味のある魅力的な人が多いですね。
私のクラスはいい人が多くて、すごくラッキーでした。
クラスメイトには、会社ですごくいいポジションにいたけど、子どもの留学のためにカナダに来ているという人もいましたね。でも面白いことに、お金持ちの人もいたのかもしれませんが、みんなバスで学校に通い、同じコック服を着て、昼にはおにぎりを1個だけ食べてお金を節約して、みたいに、経済の感覚が一緒だったんです。私も全然贅沢なんかしてないから、それが楽でしたね。
最初の頃は、授業の1ブロックが終わる度にみんなで集まってお疲れ会をやっていました。ランチしようといっても、そんなに高いところに行くわけでもなく、ランチだったら20ドルまでだよね、と金銭感覚まで一致していて。
クラスメイトにはいつも助けてもらいましたね。人運がいつもいいなって、自分でも思います。
――そういう運を引き寄せていると思いますか?
英語が喋れないのに英語圏の国に行っちゃったから、完全に弱者感があるんです。それで周りが助けてくれるというか、助けてもらわないとできないことがあまりに多くて。だから、「助けて」と言うことが恥ずかしくもなんともなくなりました。
だけど、無責任に丸投げで全部助けて、ではなくて、絶対に1回は自分でやってみて、どうしてもここができないという具体的なことを、できる人に教えてもらうという、そういう頼み方をします。それで教えてもらったら、もう、めちゃめちゃ感謝する。「本当にありがとう!」って。
――東京にいた頃に比べて変わったことはありますか?
本にも書いていますが、仲良くなったクラスメイトやシェフが、私の日本での仕事を褒めてくれるんです。テレビのバラエティーやドラマに出たり、手芸やったり、本を書いたりという話をすると、「本当にたくさんの才能があるね」って言ってくれるんですよね。
以前の私なら、自惚れるな、お前なんか何にもできねえくせに、って批判されることを想像して、そんなことを思う自分もおこがましいと思っていたんです。
でも、褒められたらそりゃあ嬉しいし、私の脳みその中で思うことぐらい私が選んでいいんだって思うようになりました。図太くなりました。










