この記事の連載
- 『ようやくカナダに行きまして』#1
- 『ようやくカナダに行きまして』#2
人気番組『めちゃイケ』メンバーとして一世を風靡し、その後の多くの女性芸人に影響を与えたオアシズ光浦靖子。彼女が一念発起しカナダ・バンクーバーへと留学したのがコロナもようやく落ち着き始めた2021年7月。50歳の留学生の怒涛の1年目を記したエッセイ『ようやくカナダに行きまして』が文藝春秋から発売された。人生100年時代の折り返しに、異国の地で彼女が見たもの、得たものとは。
最初の方はギャンギャン泣いてた
――留学前のインタビューで「自分をもう1回育て直す」というお話をされていましたが、カナダでどれぐらい「育て直し」を達成させられたのだろうと。本を拝読すると、もうスタート時点からコロナで困難の連続でしたよね。
光浦 私が行った何ヶ月か後になると、(コロナの)隔離期間がなくなるんですよね。14日間が1週間になって、だんだんなくなっていくんですよ。でも、 その大変な時期に行ったおかげで、カレッジに入学することができました。そのカレッジはコロナ前だったらすごい人気でなかなか入れないんです。ところが、コロナのせいで一旦生徒数が0になって、すんなり入れた。その時期ぽこっと人がいなくなったから。結果オーライではあったんですけど、やっぱり最初の方はトラブル続きで、ギャンギャンギャンギャン泣いてましたね。
――本を読みながら一緒にドキドキしていました。
光浦 エージェントの人が「夏になったらもう落ち着きますよ。大丈夫ですよ」って。根拠があるようなないような……。もうね、びっくりだけど、バンクーバーで隔離されてる間にね。1回制服を着た人が面接に来るんですよ。それが警察の制服なのかなんなのかわからないんだけど。本当にそこに隔離してるか見にくるの。
――ええ!?
光浦 それで結構ビビっちゃって、本当に「陰性」の結果を持ってなかったら、国外追放されるんじゃないか、「私、犯罪者になってしまうのでは」って。でも聞いたら「僕ぜんぜん外出てましたよ」という人もいて、「なんだよ〜」でした(笑)。
2024.10.12(土)
文=西澤千央
撮影=深野未季