「ねえ、ぼくの"風街"めぐりをしてみない?」から始まった、松本隆さんの人生と創作活動にゆかりのある場所をめぐる旅。この好評連載が書籍『松本隆と風街さんぽ』になりました。発売を記念して京都編の一部を抜粋します。
京都の「風街友だち」を訪ねて
京都でも、“神戸さんぽ”同様、松本さんの「風街友だち」を訪ねることに。
まずは、麩屋町通六角にある京扇子の老舗「白竹堂」へ。店主の山岡駒蔵さんと挨拶を交わすと、「創業一七一八年」「十代目」という文字が名刺に並んでいる。これはつまり何時代からの……と恐る恐る聞くと、「八代将軍吉宗の時代です」と山岡さんが笑った。
二人が出会ったのは二〇一六年。改修工事を終えた京都会館が、ロームシアター京都としてリニューアルしたときのイベントにて。伝統芸能の舞台を観劇した松本さんは、ふと「扇子を買いたい」と思ったそうだ。
「で、どこで買えばいいかGoogleで検索しなくちゃと思いながら会場を出ようとしたら、山岡さんがものすごい勢いで走り寄ってきたんだ。白竹堂と申します! 忍法引き寄せの術かと思ったぐらいビックリした」
吉田拓郎の大ファンという山岡さんは、「センセイと拓郎さんがつくったアルバム『ローリング30』が大好きで、センセイが京都に住んでおられると聞いて、いつかお会いできればと。そうしたら、偶然お見かけしまして。駆けよってしまいました」
「で、仲良くなった。それで、ぼくの五十周年のときにはコラボで扇子をつくってもらったり、おいしいものを一緒に食べにいったり。お正月に一緒におせちを食べたり」










