上沼流・現実の受け入れ方

 まずお天気の良い日に空を見上げて大声でこう叫んでください。

「ええかげんにせえよ!」

 それから、奥さんと一緒にパチンコに行ってください。2人で並んで「海物語」でも打ってください。ただ「海物語」をいくら打ったところで、「夢物語」になることはまずないので、そこは注意してください。もし1,000円でも勝ったら、スーパーでタコを買って、家でタコ焼きパーティーをしましょう。

 通い妻をやっている娘さんにも“千枚通し”を持たせて、タコ焼きをひっくり返してもらいましょう。妊娠中のお孫さんのお腹をさすって、「お父ちゃん、見つからへんかったら、僕がお父ちゃんの替わりするからなぁ」と言いながら、冷たいビールであつ~いタコ焼きを流し込みましょう。

 タコ焼きパーティーは、皆が同じ方向をむいてタコ焼きの完成を待つから、なぜか楽しいんです。バラバラになった家族をまーるくひとつにする力があるんです。焼き肉やすき焼きでは、こうはいきません。

 つまるところ、「ものは考えよう」ということなんですよ。

 あなたのように「出戻り娘が孫まで連れてやってきて、オレにおんぶに抱っこって、この年でかなわんわぁ。穏やかな老後はどこへ……?」という考え方も当然あるでしょう。

 一方で、同じ状況におかれても「急にまた賑やかになった家族のために、70を超えたオレが40代に戻ったつもりでバリバリ働かなきゃいけないな。こりゃ風邪を引いてる暇もないぞ!」と考える人もいるかもしれません。

 人生の最終盤に“お荷物”を抱えたと考えるか、思わぬ“プレゼント”を貰ったと考えるか――。どちらがいいということではありませんが、現実が変わらない以上、考え方を変えるのはひとつの手です。

 そもそも、「穏やかな老後」ってそんなにいいもんですかね?

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