数多くの名作の初演が行われたロンドンへ

ロンドンのグローブ座。オークの木にプラスター塗りに藁葺き屋根。鋼材は使われていない。

 シェイクスピアは、30歳になる前にはロンドンに進出、当初は役者をしながら脚本を書き始めた。1599年に、ロンドンのテムズ川南岸(サウス・バンク)にできたグローブ座の株主の一人となる。

 このグローブ座は、シェイクスピアの多くの戯曲の初演が行われ、人気を博したが、1613年、『ヘンリー8世』を上演中に使用した大砲が元で火事となり焼失する。2番目のグローブ座は翌年に再建、1644年まで続くが清教徒革命の影響で閉鎖。

円形劇場には屋根がない。当時、午後の2時からの上演で、屋根がなければロウソクを灯す必要がなかったからだという。

 現在、サウス・バンクにあるグローブ座「シェイクスピアズ・グローブ」は最初のジャコビアン様式の木造建築のグローブ座を、少し離れた場所で再現したもので、1997年に出来た。もちろん現在もシェイクスピア劇の上演は鑑賞できる(立ち見で10ポンドからチケットがある)。劇場ツアーでいろいろトリビアを聞くのも面白い。

シェイクスピアのいろいろな銅像や肖像画の展示も。入場料(日本語のオーディオガイドセットあり)と40分ほどのガイドツアー(英語)がセットで大人15ポンド。

 当時は1ペニーではのぞくだけ、中流以上の人は2ペニーを払って座ったそうだが、劇場の後ろ側の席は、劇を見るよりもっぱら服や宝石を見せびらかすための席だったとか。

Shakespeare's Globe(シェイクスピアズ・グローブ)
所在地 21 New Globe Walk, Bankside, London SE1 9DT
電話番号 020-79021400
URL http://www.shakespearesglobe.com/

 シェイクスピアと一緒に中世の雰囲気にたっぷり浸った旅。あれだけの劇作を成した人物は意外に世慣れていて、難しそうに思えたシェイクスピア劇も不思議と身近に感じられた。

【取材協力】
英国政府観光庁

URL http://www.visitbritain.com/ja/JP/

シェイクスピアズ・イングランド観光局
URL http://shakespeares-england.co.uk/

エミレーツ航空
URL http://www.emirates.com/jp/japanese/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

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2016.01.19(火)
文・撮影=小野アムスデン道子