世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、週替わりで登板します。
第121回は、小野アムスデン道子さんが、劇聖シェイクスピアの生地ストラットフォード・アポン・エイヴォン、そして彼が大活躍した大英帝国の首都ロンドンを巡ります!
中世そのままの扮装で生家をご案内!
その名前を知らない人は、まずいないであろう英国の劇作家、ウィリアム・シェイクスピア(1564~1616年)。
仇同士の家の悲劇の恋物語「ロミオとジュリエット」や「ハムレット」「リア王」など日本でもその演劇作品は数多く上演されており、劇中の名セリフが引用されたり、パロディも数知れず。
2016年はそんなシェイクスピアの没後400年に当たることから、生誕の地であり、また晩年を過ごした英国中部のウォリックシャーにある町ストラットフォード・アポン・エイヴォンが注目されそう。ロンドンからは列車で2時間~2時間30分という距離。英国の田舎を味わいつつ、シェイクスピアと中世の時代にひたれる旅を紹介する。
ストラットフォード・アポン・エイヴォンにある「シェイクスピアの生家」や8歳年上の妻「アン・ハサウェイの家」、母である「メアリー・アーデンの農場」、孫娘夫婦が住んだ「ナッシュの家(ニュープレイス)」(改装中で2016年夏オープン予定)、娘夫婦が住んだ「ホールズ・クロフト」は、すべて「シェイクスピア・バースプレイス・トラスト」によって運営されている。
それぞれに入場券を買うこともできるが、ストラットフォード・アポン・エイヴォンでこれらの施設を一日じっくり見て回るなら通し券(大人24.90ポンド、子供14.90ポンド)がお得。ただ、単にシェイクスピアゆかりの場所の公開というだけにとどまらず、当時の暮らしぶりが窺えるアトラクションでもある。
ウィリアム・シェイクスピアは、手袋商人ジョン・シェイクスピアの長男で8人兄弟の3番目。手袋は当時、高価なもので、家に工房のある父はブランドを持っているようなもの。
床で眠る人も多かったという時代のステイタスシンボルであるベッドがあり、ダイニングにはボードゲームのテーブルも置いてある。1階の床は石造りでオリジナルのまま。2階は3室に屋根裏部屋まである。キッチンの地下にはセラーもあって、まだ迷信深い時代で魔女除けの印が付けられている。そんないろいろな時代背景を、各部屋にいる中世の格好をしたガイドが解説してくれる。
右:「ロミオとジュリエット」をリクエストすると、女性は2階に上がって、たちまち成りきり。
Shakespeare Birthplace Trust(シェイクスピア・バースプレイス・トラスト)
URL http://www.shakespeare.org.uk/home.html
2016.01.19(火)
文・撮影=小野アムスデン道子