海を上手く撮影するコツ その2
「24時間刻々と変化する光をつかまえる」
海は24時間光が変化する場所であり、その光を浴びる波もひとつとして同じものがない。逆にいうならばとても面白い被写体なのである。
まず撮りたい海に行ったら、東西南北の位置を確認することが大事。小さな方位磁石やスマートフォンのアプリなどを使用すると便利である。そして、ぜひとも挑戦してほしい光といえば、夕陽や朝焼け。特に夕景は気象状況によって、真っ赤に焼けることもあるし、全く焼けないときもある。この私でさえ、息をのむほどの美しい夕景に出会ったことは今まで何回あるだろうか。
夕陽がきちんと水平線に落ちて水面に二つの円を作るシンメトリーを、写真家たちは「赤い雪だるま」と呼んでいるが、この赤い雪だるまはなかなか見ることができない。
もし真っ赤に焼けない、色が出ないなど困ったときの裏技はホワイトバランスを日蔭モードや曇りモードにするとよい。
また朝焼けは朝陽が水平線から昇る前のラベンダー色の空の移り変わりが美しいので、ぜひ日の出時間の1時間前には現場に到着していてほしい。たぶん辺りはまだ真っ暗だけど、朝陽が昇り始めると大気の温度は少しずつ上がってくるのを肌で感じることができるし、物体の影が少しずつ伸びて、自分の脚元まで生き物のように近づいてくる感覚も味わってみよう。
そして太陽が水平線から昇り切ってしまったら、そこからは波や影の撮影。
逆光に輝く波をシャッター速度1/500や1/1000ほどに速めて、波の崩れ落ちる瞬間を撮るもよし、三脚を使ってシャッター速度を8秒や15秒に遅くして(通称・スローシャッター)、幻想的な写真にしてみるのもよい。また砂浜に落ちたヤシの木の影もくっきりと影絵のように撮ると面白い。
写真は構図だけでなく、絞り値とシャッター速度を使って自分の創作意思を表現できることも覚えておいてほしい。
2015.06.21(日)
文・撮影=山口規子