#048 Tinian Island
テニアン島(北マリアナ諸島)

“灯台下暗し”を地でいくサイパンのお隣の島

平原をまっすぐに貫くブロードウェイ。マンハッタンとは趣が180度違います。(C)マリアナ政府観光局

 サイパンの南西約5キロに浮かぶテニアン島は、“灯台下暗し”のことわざを地でいく島です。

 サイパンから国内線でわずか10分。とくに予約の必要もなく、フライトの45分前に搭乗カウンターでチェックインすればOK。ほぼ1時間に1回フライトがあるので、まるで隣町へバスで行く感覚で渡ることができます。

 サイパンから気軽に訪れることができるテニアン島。その近さから、“サイパンから日帰りで訪れるカジノの島”というイメージがあります。日本で人気のリゾート・アイランドのサイパンに近く、カジノもあるとなると、なにやら派手そうな雰囲気……。けれど、行ってみれば、無垢の自然が広がり、人影もまばら。南の島としての魅力もたっぷりあるのです。

ブロードウェイの往来を目で追うのは、ニューヨーカーではなく、ヤギさんたち。(C)マリアナ政府観光局

 N.Y.のマンハッタン島のような形をしたテニアン島は南北約20キロ、ほぼ中央に“ブロードウェイ”という名のまっすぐな道が走っています。ただし、似ているのはあくまで島の形だけ。テニアン島のブロードウェイにはネオンもなければ、雑踏もなく、信号すらもありません。最高峰でも200メートル足らずの平坦な島は、3分の1が牧草地だそう。ところどころにプルメリアやブーゲンビリアの花が色を添える平原が広がっています。

チャモロ文化が色濃く残るテニアン島。古代チャモロ人の石柱遺跡、タガストーンも残っています。(C)マリアナ政府観光局

 テニアン島の近くには地球で最も深いマリアナ海溝が走り、透明度は40メートルオーバー、抜群の透明度を誇っています。スノーケリングツアーでアオウミガメと会えることも。そんな極上の海なのに、ビーチはほぼ貸切状態。メインビーチでさえ、誰の足跡も付いていない砂浜が広がっています。

 中心地は島の南西にあるサン・ホセ。町の近くにカジノのある豪華リゾート、テニアン・ダイナスティー・ホテル&カジノがあり、ホテル前にメインビーチのタチョンガビーチとタガビーチがあります。島の人口は3000人とデータにはあるけれど、ホテル以外ではビーチでたまに人を見かける程度で、人の気配をあまり感じません。そのことが、どこか遥か遠い南の島へ来たような気分にさせるのかも。

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2015.03.07(土)
文・撮影=古関千恵子