琳派とは似て非なる民藝という視点

色紙和讃(天文版) 「正像末和讃」(部分) 室町時代 1553年

 一見、琳派と関係なさそうなテーマ。自我に執着した、作為ある文字を「美から遠のく」と批判した柳宗悦にとって、個人の性を超えた文字、模様化された=工芸化された文字こそ美の体現だった。一方、平面と立体を厳密に区別せず、画面をグラフィカルに処理する琳派は、工芸的でありながら、同時にどこまでも個人の美醜の感覚に依拠してもいる。

 琳派再評価と同時期に活動した柳の感覚との対比を考えてみたい展覧会だ。

『文字の美 ─工芸的な文字の世界』
会場 日本民藝館(東京・駒場)
会期 2015年1月10日(土)~3月22日(日)
料金 一般1,100円(税込)ほか
電話番号 03-3467-4527
URL http://www.mingeikan.or.jp/

橋本麻里

橋本麻里 (はしもと まり)
ライター/エディター。1972年生まれ。明治学院大学非常勤講師。近著に『変り兜 戦国のCOOL DESIGN』(新潮社)、共著に『チェーザレ・ボルジアを知っていますか?』(講談社)、『恋する春画』(新潮社)など。

Column

橋本麻里の「この美術展を見逃すな!」

古今東西の仏像、茶道具から、油絵、写真、マンガまで。ライターの橋本麻里さんが女子的目線で選んだ必見の美術展を愛情いっぱいで紹介します。 「なるほど、そういうことだったのか!」「面白い!」と行きたくなること請け合いです。

2015.02.21(土)
文=橋本麻里