AIを使ったアートの価値とは
――昨今、文芸の世界でもAIを使う作家が増えています。AIを使うアートはどのように受け止められているのでしょうか。
すごく増えています。それは当然の流れで、止めることはできないでしょう。60年代にコンピューターが、90年代にインターネットが普及し、それらを使ったアートが生まれたように、2020年代以降はアートにおいても“AIの時代”になっています。
重要なのは、AIを使ったかどうかではなく、どのように使ったかです。映像作家の多くが使っていると思いますが、それは単に「こういう映像を作って」とAIに指示して終わり、という使い方ではありません。AIでアートを生み出す上でのオリジナリティは、どう設計するか、つまりAIにどのような指示を与えるかというコンセプトの部分です。作家たちには、その設計が面白いかどうか、そしてAIで生成したものにさらに人の手を加えて最終的にどう完成させるかが問われています。
――AIのような新しい技術が登場する一方で、手作業への評価も高まっているように感じます。
おっしゃる通り、陶芸や刺繍といった手作業への評価も高まっています。30年ほど前までは工芸やフォークロアはファインアートの範疇には入っていませんでしたが、今ではそれらも一体化し、先住民による表現なども含めて現代アートの定義自体がものすごく広がっています。
テクノロジーは常に進化しており、写真やビデオアートが登場したように、新しい技術がアートに転用されるのは驚くことではありません。最終的には、新しい技術を使った作品のコンセプトや視覚的な面など、総合的な評価として優れているかどうかが問われるのです。
――アートに力を入れている国として台湾、韓国、フランスの話がありましたが、現在の世界のアートシーンにおいて、東京や日本はどのような立ち位置にあるとお考えですか。
この20年ほどで世界中にビエンナーレやトリエンナーレといった国際展が増え、アジアにも美術館やアートフェアが増加しました。昔は主要な国際展は限られていましたが、今は増えすぎて全部は行けない状況です。
そのため、多くの都市がアートウィークのように美術館の企画展、ビエンナーレ、アートフェアなどを同時期に開催し、世界中から人を集めようとしています。例えばソウルは9月に、ロンドンは10月上旬、パリは10月中旬……と、複数のアートイベント・フェアが集中している時期があるんです。東京も、さまざまなアートイベントを一つの傘にまとめて「この時期に東京に行けば色々なアート作品が見られる」という期間を作るべきだとしていたところ、東京都が「ARTE TOKYO(東京国際文化芸術祭)」という芸術祭を10月10日から初めて開催していて、秋のアートイベントを包括的にプレゼンテーションするようになっています。秋の東京が世界から注目される場所になってほしいですね。
