オンラインでは五感に響かない

――他に注目されているプログラムはありますか。

 他には、オリヴィエ・グロステットも注目処です、彼は段ボールで大きな建造物を作るプロジェクトで有名な作家。今回は六本木西公園で《みんなでつくる巨大段ボール建築》として市民参加プログラムを実施するので、ぜひ共同制作に参加してみてください。

 パフォーマンスでは、日本でも人気なヨアン・ブルジョワ・アートカンパニーも必見です。ダンスと演劇、サーカスが融合したような重力や錯覚を操るパフォーマンスが有名で、今回は日本初公開となるプログラムを六本木ヒルズアリーナのオープニングアクトで披露してくれる予定です。街中で見られるのは贅沢な体験だと思いますね。

 それから、独学でダンスを学び、ストリートダンスとコンテンポラリーダンスが融合した独自のスタイルを確立させたレイラ・カも楽しみなアーティストの一人ですね。4人の女性たちが舞い上がり、輝き、はじける彼女たちのパフォーマンスは、六本木ヒルズアリーナで披露されます。

――コロナ禍を経て、映像やオンラインで楽しめるアートが増えている気がします。そのような中で、アートナイトのように人が街中を移動したり、一つの場所に集まったりすることの価値はどこにあるとお考えですか。

 これは美術館でもよく議論しているテーマです。コロナ禍を経て、オンラインギャラリーツアーなどオンラインで楽しめるイベントも試みてきましたが、やはり作品の魅力が伝わらない部分が大きいと感じました。特に、大型のインスタレーションのスケール感はまったく伝わりません。作品の匂いや特殊な素材感、サウンドやバイブレーションといった五感を使うものも伝わらない。こうしたオンラインでの試みも一般的になってきた現在、リアルな体験は逆に重要になってくると考えています。

 オンラインで会議はできても、重要な契約をオンラインでは決めないのと同じで、アートに街中で出会うという体験は、スマートフォンの中での出会いとは別物。SNSは情報拡散のために活用していますが、美術館というリアルなスペースに来て、五感を使って体験していただくことが重要だと思っていますし、アートナイトもその延長線上にあります。

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