日没から夜明けまで、現代アート、パフォーマンス、デザインなどさまざまなアートを体験できる「六本木アートナイト」。2009年からスタートし、15回目の大きな節目を迎える今年の六本木アートナイトは、3年ぶりのオールナイト(夜通し)開催が復活する。

 開始当初の姿へ立ち返るような、2026年の六本木アートナイト。10月31日(土)の開催を前に、実行委員⻑である片岡真実森美術館館長にその心境を伺った。


原点回帰の思い

――今年の六本木アートナイトは、3年ぶりのオールナイト開催です。さらに、さまざまな国や地域のアートに注目するプログラム「RAN Focus」は、今年はフランスにフォーカスするとのこと。六本木アートナイトはパリの「ニュイ・ブランシュ(白夜祭)」をモデルに始まったこともあり、フランスにフォーカスするのは「原点回帰」のようにも感じました。

 まさにそうですね。2009年から始まったアートナイトですが、新型コロナウイルス蔓延を受けて2020年の開催が中止となり、その後も延期を繰り返してきました。オンライン開催などの試行錯誤を経て、2022年に3年ぶりのリアル開催、2023年には4年ぶりにオールナイトで開催したんですが、そのときには、若い方々が夜の街から姿を消していた。

 もうオールナイト開催自体が無理なのではないかと、しばらくは長くても23時までの開催にしていましたが、ここ最近は、人の動きが戻ってきている感覚がありました。そこで今年、再びオールナイト開催に踏み切ったのですが、3年ぶりということで、改めてオールナイトのオリジンでもある「ニュイ・ブランシュ」に立ち返ろうという考えに至りました。そんな原点回帰の思いが、フランスにフォーカスした理由の一つです。

 さらに「RAN Focus」では自国のアートをプロモートすることに力を入れている国にお声がけさせていただきまして、これまで台湾や韓国を取り上げてきました。フランスは文化や芸術に対する意識が非常に高いことも、フォーカスした理由になります。

――さまざまなプログラムがあり、どれも魅力的で選べないとは思いますが……今年の六本木アートナイトで注目すべきプログラムを教えていただけますか。

 メイン作品は、シャルル・ぺティヨンという作家の《和(WA)》『Wa The Circle』です。彼は白い風船などを使って空間を埋めていくような作品で知られていますが、今回は直径6メートルの白い風船で作られた、2つの浮遊する円で構成されたインスタレーションをメインステージに作ります。風船は、壊れやすく移ろいやすい、存在の儚い美しさを思い起こさせます。

 私のおすすめは、イシャム・ベラダというアーティスト。彼は水槽の中にさまざまな物質を入れて化学反応を起こし、それが風景のように見える作品を制作しています。実際はすごく小さいものなのですが、それを映像化させて巨大なスクリーンに拡大して見せます。CGなどではなく、リアルな化学反応を風景のように見せるので、画面がずっと変わっていく。その移り変わりに、つい目が離せなくなってしまいます。

 これまで映像作品は暗い部屋でしか見せられませんでしたが、前回からアリーナのステージにLEDのスクリーンを導入したことで、明るい場所でも映像作品を見られるようになった。昼夜両方に対応できる作品というのがこれまでのスクリーンでは難しかったのですが、LEDによって映像作品もきちんと見せられるようになりました。

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