普通の店にみえるのだが…
店先のメニューをみると、「かき揚げ天そば」、「ラーメン」(完売)、「おきあみ天そば」、「紅しようが天そば」、「春菊天そば」、「ちくわ天そば」、「わかめそば」、「ソーキそば」(完売)、「ワンタンメン」(完売)、「なめこそば」、「ナス天そば」とある。
「ラーメン」や「ソーキそば」などの販売もあるが、それ以外は至って普通の立ち食いそば店のメニューである。
しかし、座席に座り改めてメニュー表を見てびっくり。「タコあたま天そば」、「イカゲソ天そば」はすごくやわらかいと記されている。「10分かかるナス天そば」というものも気になるじゃないか。
発売していないが、「たぬき ほんもの」、「むじな ほんもの」などの、変なメニュー書きもある。なんだか風雲急を告げるメニュー表だ。
まず、「10分かかるナス天そば」を注文してみた。
すると「10分程かかります。よろしいですか。ウチは時間のかかる立ち食いそば屋なのですいません」と籾山店主がにこっとしながら話しかけてくれた。
肉料理全般のプロが始めた立ち食いそば店
調理の間、籾山店主のルーツみたいなものをきいてみたのだが、これが感心しきりである。籾山さんは 40 代半ば。いまクマで騒然としている秋田県の出身。18 歳に上京し、興味ある料理の人気店などで働いたのち、ジビエなどの肉料理全般の商品企画開発に十数年以上携わってきた食のプロだという。
店を出すキッカケがまた面白い。籾山さんは立ち食いそばが好きで、前出の「手造り 丸源」にもよく行っていたらしく、いろいろやりたいことがあるなか、肉関係以外の店をやろうと思い、好きだった立ち食いそば屋をチョイスしたという。
錦糸町のこの場所なら、夜の仕事の方や朝まで飲んでいる酔客が〆でサクッと食べてもらえるような店ができるのではと考えた。それで「あさだけ」という店名にしたというわけである。
9月の中旬にオープンした時は、朝3時に開店して、10時までは立ち食いそば屋、昼は餃子の店というスタイルでスタートした。しかも、朝は天ぷらは作らないつもりだったという。今のようなカウンター席でもなく、立ち食いスタイルだったそうだ。
ところが、オープンしてからまったく客がこない状態が続いて焦ったという。そんな時、1人のお客さんがやってきた。
