週1日営業、夜のみオープン......最近目にする「間借り営業」の飲食店。いつでも行けるわけではない、ふらっと立ち寄るわけにもいかない。だからこそ、強く心惹かれるというものです。

 そんな、間借り営業(ポップアップ)している飲食店を巡るこのシリーズ。間借り店ならではのこだわりや創意あふれるグルメを求めて、いざホッピング!

» 素材の味をまっすぐ伝える、週2日だけの焼き菓子店「sankaku」
» ごろっと胡桃、しっとりにんじん。米粉で焼くキャロットケーキが評判
» 「このスタイルがしっくりくる」間借りだから叶うしなやかな店づくり


素材の味をまっすぐ伝える、週2日だけの焼き菓子店「sankaku」

 日本橋に程近く、古くから「博労町(馬の仲買人の町)」として栄えた歴史を持つ問屋街「馬喰町」。近年ハイセンスなカフェが続々とオープンする注目の街の駅前に、開店前からお客さんが列をつくる焼き菓子店があります。毎週金曜日と土曜日のみオープンする「sankaku」です。

  扉を開けた瞬間、ふわりと感じる甘い焼き菓子の香り。見ているだけで心が弾むキャロットケーキやスコーン、マフィンなどの焼き菓子の数々は、「米粉メインで」というのがsankakuのこだわりです。

「でも、グルテンフリーが絶対というわけではないんですよ。美味しいスイーツを食べたら米粉だったというのがいいですね」と話すのは、オーナーパティシエの岡田有加さん。あくまで美味しさ最優先だそう。

 実際に、sankakuに並ぶほとんどの焼き菓子は米粉で作られていますが、スコーンは国産小麦粉を使用。「スコーンは私自身がとても好きで。米粉でたくさん試したのですが、どうしても好きなスコーンにならなくて。だから質の良い小麦で作ることにしました」と岡田さん。美味しいことは絶対で、体に優しいなら尚良しの姿勢です。

 元々カフェで15年ほど働いていたという岡田さんは、外国産小麦粉やグラニュー糖のお菓子を食べると体への負担を感じるようになり、それならば! と経験を活かして米粉のお菓子づくりを始めました。米粉を使ったスイーツは今までのレシピが全く通用せず、始めは試行錯誤だったそう。当初はオンラインのみでの販売でしたが、評判が評判を呼び店舗販売をスタート、2025年1月により広い今の店舗へ移転しました。

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