愛犬・由莉との別れ
「ご一家は須崎に先立ち、7月18日からの6日間、栃木県の那須御用邸でもご静養なさいました。愛子さまにとって、7月に那須を訪問されるのは20年ぶりのこと。ただ、前月に愛犬の由莉が老衰で息を引き取ったこともあり、ご静養に入った当初はどこか寂しげなご様子でした。由莉は愛子さまにとって、幼い頃から共に時間を過ごした妹のような存在でしたので……」(皇室関係者)
由莉は動物病院で保護された雌の雑種で、2009年春、生後2か月の時に当時の皇太子ご一家に引き取られた。「由莉」という名前は愛子さまが命名された。動物の名前は親が決めるのではなく子どもが考えて付けた方が責任を持って可愛がるという、両陛下のお考えがあってのことだった。
「愛子さまはたくさんお考えになって『ゆり』と付けられ、後から『由莉』という漢字が与えられました。当時は『私が名付け親なの』と誇らし気だったそうです。 7歳の初夏、栃木県の御料牧場に向かわれるため、JR宇都宮駅に到着された際、『記者の方たちにも見せてあげるの』と言って、両手で由莉を抱かれていたのが印象的です」(同前)

愛子さまが初等科2年生から学校を休みがちになった時には、職員が由莉と一緒に学校の門まで付き添うこともあった。学校から帰宅なさると、真っ先に由莉の元に行き頭を撫でられていたという。
由莉は頭が良く穏やかな性格だった。雅子さまと愛子さまに連れられて、動物介在療法のセラピー訓練を受けた後は、小児病棟を訪れて入院中の子どもたちと触れ合ったり、散歩をしたりすることもあった。
16年間可愛がっていた由莉との突然の別れは、愛子さまにとって大きな悲しみだったに違いない。
その表情が少し晴れたのは、那須にご滞在中、ご一家で「那須どうぶつ王国」に足を運ばれたときのことだった。
2025.10.04(土)
文=友納尚子