更年期以降の年齢革命はこれから
30代がまだ大人になったばかり、人生が始まったばかりの年齢であると、みんなが気づいた“かつての年齢革命”は、人々の意識を全く変えたけれど、更年期以降の年齢革命はまだ抜本的には起きていない。
実際のポストメノポーズ(編集部注:閉経後)世代は圧倒されるほど若いのに、全く意味不明の古い年齢観が、未だ社会に根深くはびこってしまっているのだ。
ただそれも、致し方ないこと。実際に歳をとってみなければわからない。なってみなければわからないのが、年齢というものだからだ。

事実、自分も年齢を重ねていくことは怖かった。私自身49歳で不幸感を感じていたくらいだから、40代から50代を見た時、その先は本当に真っ暗に見えていた。自分がどんどんしぼんでいくような感覚があったし、その時は良いことなど見つからなかった。歳をとるメリットなど一つも思い浮かばなかった。
しかし実際に50代に入り、60代に入った頃、何この心地よさ? と驚いたものだった。折も折、人生100年宣言があって全く新しい扉が開け放たれ、じつはその先に広がる世界が楽園にさえ見えたのだから、まさにどんでん返し。
「人生は100年」と言われてどう感じた?
ただもう一つ、とても重要なことがある。人生は100年へと言われた時どう感じただろうか。そんなに長く生きたくないと思った人もいたはず。そんなに長く体が持たないと思った人も。
もちろん経済的な問題もある。新たな不安が今のメノポーズ世代を襲ったのは確かなのだ。あと40年以上どうやって生きたらいいの? 逆に途方にくれた人もいるはずなのだ。

だからこそ今思い切った年齢革命が必要なのである。このまま高齢者が増えていったら、ましてや介護を必要とする高齢者が増えていったら、日本は本当に立ち行かなくなるのだろう。
そして正直、自分たち自身もどうなってしまうか分からない。100年も生きられて良かった良かった……という話では全くないのである。ましてやそういう不安を国が支えてくれるとは、どうしても思えない。
とすれば一人一人が100年を自分の力で生き抜かなければならない。だからこそ今のうちに自分の中にある年齢観を変えなければいけないのだ。
2025.09.11(木)
文=齋藤 薫