グラスフェットバターにNZ産が多いワケ

 フォンテラの本社があるのは、酪農王国ニュージーランド。ニュージーランドでは牧草飼育(グラスフェッド)が主流ですが、日本を含め他の地域では牛舎で穀物を食べて育つ穀物飼育(グレインフェッド)が一般的です。

 特筆したいのは、乳牛にとってグラスフェッドの原点ともなる放牧飼育はとても良い飼育方法だということ。放牧飼育の乳牛の生活は睡眠時も含めて基本的に屋外で、自由にのびのびと牧草を食べながら牛本来の暮らしに近い環境で過ごします。そうやって育った乳牛はストレスが少なく健康状態が良いことが特徴。アニマルウェルフェアの観点からも放牧飼育は今注目されています。

 乳牛のためにはどの国でも放牧飼育を主流にするべきでは? と思いますが、それは簡単なことではありません。広大な土地、穏やかな気候、降雨量が多いなどの条件が重なるニュージーランドだからこそ、これほどの規模で牧草飼育を実現できているのです。

 フォンテラ社の酪農家が育てる乳牛は年間350日以上も自然の牧草地で放牧され、96%のグラスフェッド率を誇ります。グラスフェッドバターは、まさにニュージーランドの恵みといえます。

2025.08.16(土)
文・写真=上野 郁