自分とは正反対の性格の役を演じた『三丁目の夕日』
――そして、淳之介役で出演した『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズに繋がっていくわけですが、これはオーディションですよね?
もともと僕は(鈴木家の長男)一平役でオーディションを受けていたんです。普段の僕は、一平のような性格なので。ところがオーディションで(山崎貴)監督から「一回、淳之介をやってみて」と言われたのがきっかけで、淳之介役に選ばれたんです。つまり、自分とはかなり違う役なのですが、役作りみたいなものは特にしませんでしたね。この作品や日本アカデミー賞で新人賞をいただいた『花田少年史 幽霊と秘密のトンネル』ぐらいから、普段の自分とは違う役を演じたり、自分が考えたことを現場で発信したりできるようになった。そして、それをスクリーンやTVで見ることが楽しいと思うようになったんです。
――『ALWAYS』は三部作ですが、一作目から三作目までの約6年間で40センチ身長が伸びたそうですね。当然、意識的な変化もありましたよね?
一作ごとに感じていることは違いましたね。一作目のときは、セットのスゴさに驚かされたり、まだまだ面白い空間に行っている感覚が9割だったんですが、三作目のときには淳之介の感情の部分を意識しながら演技していた。自分に求められているものや、自分のやることの意味みたいなものが的確に分かるようになったんです。昔はそれを良くも悪くも分かってなくて、ただ言われたことをやっている感じでしたから。だから、いちばんプレッシャーを強く感じたのは三作目ですね。
――その後、09年から剣道を始められますが、それは翌10年に出演され、新たな須賀さんのイメージを出されたドラマ「新撰組PEACE MAKER」と関係があるのでしょうか?
小さい頃からチャンバラに憧れていたこともあって剣道を始めたところ、「新撰組PEACE MAKER」のお話が決まったんです。だから、より頑張らなきゃという気持ちでいっぱいでした。僕は、常に人を驚かせたいとか、それまでの自分とは違う自分を見せたい、イメージを壊したいという気持ちが強いんです。この作品に限ったことではないですが、当時は淳之介とは違う自分を見せたいなと意識しながら演じていたことを覚えています。
2014.06.06(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央