自分の時間が全く取れない
――三宅さんと言えば現役時代、ずっと自分と対峙し続けていらっしゃった印象です。今は自分に向き合う時間もない?

三宅 いや~、全くないですね。自分の時間を持ちたかったら睡眠時間を削るしかないですけど、仕事や育児でくたくただから気づいたら寝てしまっている(笑)。
子育てをしていると、1日がすごく長く感じます。家事をこなし子供とたっぷり遊んだはずなのに、まだ午前中? って(笑)。「まだこれから午後があるのか……」って時間の使い方やに慣れるまでは苦労しました。やっぱり時には、羽を伸ばす時間は必要だなって感じますね。
家事における夫婦間のルール
――お相手は法政大学ウエイトリフティング部の1学年後輩で、リオ五輪62kg級に出場した中山陽介さん。家事の分担はどうしていますか。
三宅 お互いにやりますね。ただ、最初は細かいことから注意していました。食べ終わったら食器は台所に持って行くとか、取りこんだ洗濯物はたたむとか(笑)。私たちは2人ともきれい好きではあるけど、神経質なほどこだわる方ではないので、ちょうど良かったです。だから汚れが気になったらどちらかが片付けるという感じです。

それでも、30年以上も別々に生活していた者同士が一緒に住むとなると、色んな食い違いが出てきます。「言った」「聞いてない」ということで些細な言い合いになってしまったこともあったので、夫婦間のルールを決めました。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)は必ず守ると。
私は多少カッとする質なので、夫にきつく当たってしまうこともあって。でも彼は優しいので、話し合いをしていい方向に収めてくれるんです。子育てや家事、仕事に追われてイライラすることもありますが、今はそれ以上に、家族を持った良さをしみじみ味わっていますね。
2025.06.19(木)
文=吉井妙子
撮影=鈴木七絵