俳優、声優、歌手とマルチに活躍されている平野綾さん。舞台『チョコレート・アンダーグラウンド』で平野綾さんが演じるモファットが歌うソロナンバーに込めた思いとは。
「何度も役者を辞めようと思ったことがある」と語る平野さんに、どん底から這い上がるためのヒントも語っていただきました。

──平野さんのソロナンバー「愚かで美しいこの世界」を聞いて涙が出そうになりました。心に深く染み入る曲ですね。
平野綾さん(以下、平野) ありがとうございます。私も最初に楽曲をいただいた時に、ぐっときて作曲のオレノ(グラフィティ)さんに「あの曲を聞いて、ちょっと涙が出ちゃった」とすぐに連絡しました。
オレノさんとは日頃から親しくさせていただいているのですが、お互いに頑張ってきた過去も見てきているので、それがすごく歌に重なって、あらためてこの曲を歌わせていただけた幸せをかみしめました。石丸(さち子)さんからは日比谷フェスティバルの時に、「この歌は綾ちゃんに歌ってもらえて、すごくよかった」と言っていただきました。
歌稽古の初日には、脚本と作詞を担当した(高橋)亜子さんから「この歌を平野さんに歌ってもらえると聞いて、気合いを入れて書いた」と言ってくださって。もう、皆さんにそんなことを言っていただけるなんて頑張るしかないですよね。ありがたく、幸せなことだと思って精一杯歌わせていただいています。

──歌詞に平野さんご自身の過去がオーバーラップする、とおっしゃっていました。
平野 はい。自分が役者を目指そうと思った頃の感覚を思い出させてくれる歌だと感じました。役者としてこの曲をいただけて本当に光栄です。自分と役がオーバーラップする部分が多いので、そこはリアルな表現を意識しています。このナンバーを歌わせていただけて、心から感謝しています。
2025.05.27(火)
文=相澤洋美
写真=山元茂樹