映画『花まんま』が4月25日(金)より公開となる。朱川湊人さんの2005年直木賞受賞作を原作とし、映画『そして、バトンは渡された』『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の前田哲監督がメガフォンをとった感動作。

 映画公開を記念して、原作者・朱川湊人さんと映画監督・前田哲さんの対談が実現した。小説と映画の関係性、俳優たちの力、そしてお二人の共通点とは。

~映画『花まんま』あらすじ~

鈴木亮平さん、有村架純さん演じる、大阪の下町で暮らす二人きりの兄妹、俊樹とフミ子。
フミ子の不思議な記憶を巡って、物語は動き出す。

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――朱川さんご自身も映画にご出演されたそうですね。

朱川 プロの俳優さんたちがお芝居しているところを、今までもちょこちょこ見たことはあったんですけど、あんなに本格的に近くで見たのは初めてだったんで緊張しました。

「お願いします!」というセリフの次が私のセリフだという説明を受けていたんですが、誰がそのきっかけのセリフを言うのかもわからないまま本番が始まって(笑)。しばらくして鈴木亮平さんの声で「お願いします!」が聞こえて、「おかわり!」と一言を発しました。あれは難しい芝居でした。

前田 (笑)。朱川さんの振り向く演技はすごく自然だったんですよ。あれも考えてくださったんですか?

朱川 そうです、かなり考えましたね。

前田 「こういう人いるな」っていう感じに見えてよかったです。自然なのが一番ですから。

朱川 映画の現場って何回も同じシーンを撮るじゃないですか、そのなかでファーストサマーウイカさんがアドリブを入れてこられたときがあって、こっちは「えっ!」ってびっくりしちゃって(笑)。でもそういうアドリブ的なものこそが自然なお芝居ってことなんでしょうね。

前田 僕は芝居はリアクションだと思ってて。亮平さんは「反射」という言葉を使われるんですが、たとえば主人公の兄妹が面と向かって対峙するシーンでは、背の高い兄の俊樹がぐっと迫って上の方からものを言うのに対して、反発するように強く妹のフミ子の応答が生まれる。お互いに対するリアクションこそが芝居なんです。亮平さんも架純さんも、お二人ともそれができるし、相性もとてもよかったと思います。

2025.04.28(月)
文=第二文藝部