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 NHKの朝ドラ「あんぱん」の舞台として注目が高まる高知は、太平洋と山に囲まれた四国のなかでも独特な場所。人をもてなし自分も楽しむのが大好きな“おきゃく(宴会)文化”の醍醐味を味わうなら、高知愛あふれるスタッフと地域の方々が仕掛けるホテル「OMO7高知(おも)by 星野リゾート」(以下、OMO7高知)が断然おすすめです。

 前篇では、街をこよなく愛するスタッフ「OMOレンジャー」の案内で街路市をめぐるアクティビティや、高知の美味を満喫できるビュッフェ、夏の風物詩「よさこい」の熱気を直に感じられるライブなどを紹介します。


高知の食の豊かさと人の温かさに触れる木曜市

 高知には、曜日ごとに開催される街路市があり、現在は火・木・金・日曜日に、それぞれ異なる場所に市が立ちます。他府県にも朝市や定期市はありますが、平日も定期的に、道路空間そのものを使って開催され、人々の暮らしと密接に結びついた市は希少です。

 OMO7高知では、大規模な日曜市と、地域密着型の木曜市をめぐるアクティビティを体験できますが、今回は「ちっくと食べやぁ、グルメな木曜市ツアー」に参加してみました(参加費500円+電車賃。ちょこっと試食付き)。

 毎週木曜の早朝から昼下がりまで、県庁前の並木道を封鎖して開催される木曜市。約200メートルの通り沿いに、60軒前後のお店が並びます。

 みずみずしい野菜や果物のほか、手作りの惣菜や弁当、自家製酵母のパンなど、おいしそうなものばかり。「とにかく売れるもの!」というより「作ったものを持ってきた」といった感じの素朴さが魅力です。

 お客さんは、いかにもご近所からといった普段着姿の方がほとんどですが、オフィスビルも多い立地から、仕事の合間に昼食や食材を買い込む人の姿も。終始のんびりとしたムードでお買い物を楽しむことができます。

 しかも私たちには、OMOレンジャーという強い味方が。おすすめの店を教えてくれるだけでなく、お店の方と自然に会話できるムードをつくってくれます。扱う食材のおいしさや調理法、ときには人生訓も軽快に話してくれるハチキン(明るく快活で働き者の女性を表す土佐弁)は、街路市名物のひとつと言えましょう。

 木曜市に限らず、高知の街路市では出店者が生産者本人だったり、加工も地元でしていたりと、生産者の顔が見える経済が回っているよう。これも街と農村、海が地理的にも心理的にも近い高知ならではの特色かもしれません。

2025.04.10(木)
文・写真=伊藤由起
写真協力=OMO