この記事の連載

日本語をもっと勉強して、演技に挑戦したい

――ジョンヒョクさんが演じるジェインのシーンは、ほぼすべてニュージーランドでのロケですね。撮影中に印象に残っていることや、思い出深いエピソードがあれば教えてください。 

 撮影の休みの日に道を歩いていたら、信号のところで偶然、ニュージーランドの高校時代の友人に出くわしたんです。彼はすでに結婚していて、新しい人生を歩んでいました。その話を聞いて、なんとも不思議な気持ちになりましたし、とても新鮮な感覚を覚えました。すごく印象に残っている出来事ですね。

――そのお友達も、韓国からの留学生だったんですか?

 そうです。彼も留学生だったんですが、ニュージーランドで永住権を得て暮らしています。

――映画の原題は『韓国が嫌いで』ですが、ジョンヒョクさんが思う韓国の一番好きなところと、逆に苦手なところがあれば教えてください。

 まず、韓国の好きなところは、やはり意思の疎通がしやすい点ですね。母国語で気軽にコミュニケーションが取れるのは、とても楽だと感じます。逆に苦手なところは寒さです。韓国は本当に寒い(笑)! 今日も寒いし、昨日も寒かったし、日本と比べても寒さが厳しいと思います。暖かい気候のほうが過ごしやすいですし、寒いと体が縮こまってしまいますからね。

――2025年1月2日にTBS系で放送されたドラマ「スロウトレイン」に出演し、話題になりました。これから日本で活動する予定はありますか?

 その前にまず教えてください。「スロウトレイン」の評判は良かったんですか?

――はい。ドラマも、ジョンヒョクさんの演技もとても良かったですよ。

 (大きな笑顔で)ああ、それなら良かったですー! 僕、まだ放送後の評判を聞いていなかったんですよ。

 日本での活動については、常に計画を持っているのですが、ただ、そのタイミングは、自分の日本語がもっと上達してからだと考えています。日本語で演技をしたいですし、日常会話もスムーズにできるようになりたい。特に、演出家や共演者、スタッフの方々と直接日本語でコミュニケーションを取れるようになりたいという思いがあります。

――最後に、CREA Webの読者に向けて、この映画の魅力を教えてください。

 静かに物語が流れていく映画ですが、その中に深い感動が詰まっています。ぜひ、皆さんにも楽しんで観ていただきたいです。僕が演じるジェインの登場シーンを、あたたかい目で見守ってもらえたら嬉しいです。

チュ・ジョンヒョク

1991年7月27日生まれ、韓国仁川出身。16歳から21歳までニュージーランドに留学。オークランド工科大学在学中、兵役のため韓国に戻ったのち、2015年に俳優デビュー。ドラマ「ユミの細胞たち」(21-22年)、「ハピネス」(21年)を経て、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」(22年)の弁護士クォン・ミヌ役で脚光をあびる。キム・ソンファン監督『IRON MASK』(23年/日本未公開)で映画初主演。本作では第45回青龍映画賞新人男優賞にノミネートされている。TBS系新春スペシャルドラマ「スロウトレイン」(25年)で日本ドラマデビュー。キム・ヘス主演のドラマ「トリガー ニュースの裏側」(25年/Disney+)ではメインキャストに抜擢された。

『ケナは韓国が嫌いで』3月7日公開

ソウル郊外の団地で両親と妹と共に暮らす28歳のケナ(コ・アソン)は、片道2時間かけてソウル市内の金融会社に通うも、競争は激しく、誰もが上層部の顔色を伺い、昼食さえ自分の好きなメニューを選べない鬱々とした日々。大学時代からの恋人ジミョン(キム・ウギョム)は、「自分が就職したら支える」と言うが、そんな彼にケナは苛立ちを隠せない。ケナは働きたくないわけではないのだ。だがケナの母は裕福なジミョンとの結婚を待ち望み、転居先を購入するための費用もケナに頼ろうとする。ソウルの寒すぎる冬、地獄のような通勤、興味のない仕事、恋人との不透明な未来、仲は良いが価値観の古い家族との息の詰まる日々。ここでは幸せになれないと感じたケナは、ニュージーランドへ向かう。監督は『ひと夏のファンタジア』(15)のチャン・ゴンジェ。韓国の是枝裕和とも称される俊英が、チャン・ガンミョンのベストセラー小説「韓国が嫌いで」を元に、若者のリアルを映す。主演は『グエムル-漢江の怪物-』(06)のコ・アソン。


出演:コ・アソン チュ・ジョンヒョク
監督・脚本:チャン・ゴンジェ
©︎ 2024 NK CONTENTS AND MOCUSHURA INC. ALL RIGHTS RESERVED.
配給:アニモプロデュース
公式HP:https://animoproduce.co.jp/bihk/

← この連載をはじめから読む

2025.03.07(金)
文=石津文子