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「センセイ、ご自分の頭のサイズってご存じですか?」
「センセイ、これを試してみませんか」と柳さん。「兎毛のハットなんです」
「どれどれ。わ、すごく軽いね。そしてすごくフィットする」
「そうでしょう。帽子は軽さが大事なんです。軽くないと脱ぎたくなってしまうので、特に夏用なんかは羽のように軽くないとダメ。そしてうちは、日本人の頭に合う木型で作ってますからちょうどいい。ヨーロッパ製がいまいち似合わないと感じるのは、骨格が違うからなんです。そういえばセンセイ、ご自分の頭のサイズってご存じですか?」
「以前測ってもらったような気もするけれど、いまはどうだろう」
「測ってみましょう」

そんなこんなで、次回マキシンを訪れたときに新しいハットをオーダーする約束した松本さん。店を出ると、「じゃあ、今日の締めくくりに、ぼくの“ホーム”へ行こう。すぐそこにあるんだ」と、マキシンの斜向かいにある喫茶店を指さした。「マキシンを紹介してくれたのもここのマスターだった」

「木馬(MOKUBA’S TAVERN)」は小西武志さんがマスターのジャズ喫茶。1977年、三宮センター街にオープンしたのが始まりで、その後95年に阪神・淡路大震災で被災してトアロードに移転、2005年に現在の場所に落ち着いた。
2025.03.06(木)
文=辛島いづみ
撮影=平松市聖