伝統と革新が良い塩梅を醸す酒蔵、李白酒造へ

さて、一方の「李白酒造」は、出雲神話に出てくる酒造りの伝統を守りながら革新的な酒造りをし、海外の市場開拓にも早くから取り組んできた酒蔵です。こちらは通常、一般の酒蔵見学を受付けていないので、このプログラムがチャンス。5代蔵元の田中裕一郎さんが自ら案内してくれます。

「個人ではなく、蔵として酒造りの技術を継承することを目指している」という田中さん。人の手と現代の技術を融合し、酒造りを次世代へ継承する蔵の挑戦を間近で見るのは、これまたすごく新鮮。その日の工程によっては洗米、浸漬(しんせき/酒米を水に浸す作業)などの体験も可能です。



酒米を洗って、水につけ、水を切り、蒸して、ほぐす。ひとつひとつの工程が、その後の酒造りに影響する大事な作業。一方で、製麹装置(麹菌を育てる装置)を導入するなど効率化できる部分には積極的に投資をしているそう。
それもこれも、おいしい酒を造り続けるため。見学のあとは、精米歩合58%の日本酒の4種類飲み比べなど普段はできない飲み方を楽しめます。

2025.02.19(水)
文・写真=伊藤由起
写真協力=界