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伝統製法でつくる「マスコバド糖」

 高品質で知られるネグロス島の砂糖。その製造過程を見せてもらえるとのことで、製糖工場にお邪魔しました。1918年創業の「ハワイアン=フィリッピン・カンパニー」は、フィリピン屈指の製糖工場。1日8000トンのサトウキビが絶え間なくトラックで運び込まれ、750トンの粗糖を製造しているほか、希少なマスコバド糖もつくられています。

 古くからネグロス島でつくられているマスコバド糖とは、サトウキビの搾り汁を煮詰め、撹拌しながら自然乾燥させてつくる未精製の黒糖。こちらの製糖工場では、職人が昔ながらの手作業でマスコバド糖を少量生産しています。特別な日には、古式にのっとりカラバオ(水牛)が製糖機を動かすこともあるそうですよ。

 マスコバド糖は一般的な黒糖よりも色味が薄く、キャラメルのような香ばしさがありますが、味は意外とクセがなく使いやすいのが特徴。サトウキビ自体の品質はもとより、ネグロス島で発展した高い製糖技術のたまものです。

 「ドン パパ」などの高級ラム酒や、バコロドの伝統菓子ピアヤの材料としても欠かせないマスコバド糖。最近ではミネラル豊富でヘルシーな砂糖として、海外でも注目されています。

ハワイアン=フィリッピン・カンパニー Hawaiian-Philippine Company

https://hawaiian-philippine.com/

2024.07.04(木)
文・写真=伊藤由起
協力=フィリピン政府観光省、shifumy(江藤詩文)
写真協力=Kazuki Kei Kiyosawa